「同期がまた一人辞めた」「自分もいつまで続けられるだろう」。整骨院で働いていると、こんな不安を感じる場面は少なくありません。
柔道整復師の離職率とは、一定期間のうちに職場を辞めた柔道整復師の割合のことです。ただし、柔道整復師だけに絞った公的な離職率の統計はありません。
この記事では、厚生労働省などの公的データから柔道整復師の離職の実態を読み解きます。辞める理由や、離職率が低い職場の見分け方もまとめました。今の職場を続けるか迷っている方は、判断材料にしてください。
柔道整復師の離職率は高い?公的データで見る早期離職の実態
柔道整復師の離職率は、近い公的データから見ると高い水準にあると考えられます。柔道整復師単独の統計はないものの、所属する医療・福祉業界の早期離職率は全産業の中でも上位です。
柔道整復師だけの離職率データは存在しない
柔道整復師だけを対象にした公的な離職率の統計はありません。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、柔道整復師ははり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師とまとめて集計されています。
ネットで見かける「柔道整復師の離職率は〇%」という数字には注意が必要です。調査名や発表元が書かれていない数字は、判断材料にしないほうが安全です。
医療・福祉業界の3年以内離職率は4割超
柔道整復師が分類される医療・福祉業界は、新卒の3年以内離職率が4割を超えています。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によると、医療・福祉の3年以内離職率は高卒で49.3%、大卒で41.5%でした。
医療・福祉の早期離職率は、全産業の中でも上位5位以内に入る水準です。新卒の約3割が3年以内に辞めるといわれる中で、さらに高い割合になっています。
よくあるのが、2年目の春に同期の半分がいなくなっているケースです。「自分だけが弱いわけではない」と知るだけでも、気持ちは少し軽くなります。
資格を持っていても、柔道整復師として働いていない人も一定数います。柔道整復研修試験財団の資料(2015年3月31日時点)では、登録者93,089名のうち就業者は63,873名(69%)、未就業者は29,216名(31%)でした。未就業の中には、介護施設の機能訓練指導員など別の形で資格を活かす人も含まれます。
柔道整復師が辞める理由|整骨院を辞めたいと感じる5つの悩み
柔道整復師が辞める主な理由は、長い拘束時間、給料の低さ、体の負担、人間関係、将来への不安の5つです。どれか1つではなく、複数が重なったときに離職を決める人が多い傾向があります。
特に1年目で辞めるか迷っている方は、整骨院を1年目で辞めたい人に向けた判断のポイントもあわせて参考にしてください。
拘束時間が長く、プライベートの時間が持てない
辞める理由で特に多いのが、拘束時間の長さです。9時〜21時営業の院では、開院前の準備から閉院後の片付けまで、12時間以上拘束されることもあります。
受付を締めたあとにカルテ整理と掃除をして、気づけば21時半。昼に2〜3時間の中休みがあっても、自由に使えるとは限りません。帰宅して寝るだけの毎日が続くと、心も体もすり減っていきます。
給料・評価・体の負担・人間関係・将来への不安
拘束時間のほかにも、離職につながりやすい悩みがあります。代表的なものは次のとおりです。
- 給料が上がらない:ワンマン経営の院では評価制度がなく、昇給の基準があいまい
- 体の負担:立ちっぱなしの施術や手技で、腰痛や腱鞘炎を抱えやすい
- 人間関係:少人数の院では逃げ場がなく、院長との不和が退職に直結しやすい
- 将来への不安:施術所の増加による競争や、研修制度がない院でのスキルの停滞
接骨院・整骨院の数は多く、厚生労働省「衛生行政報告例」では2022年末時点で50,919カ所あります。施術所が多い地域では患者の取り合いが起きやすく、将来への不安につながっています。業界の今後が気になる方は、柔道整復師の将来性について解説した記事も読んでみてください。
一方で、独立開業を目指して前向きに辞める人もいます。離職のすべてがネガティブな理由とは限りません。
離職率が低い整骨院の見分け方|転職で後悔しないために
離職率が低い整骨院は、労働時間・給与・教育の仕組みが「見える化」されています。求人票の言葉だけで判断せず、見学や面接で具体的な数字や仕組みを確認することが大切です。
柔道整復師を目指す人は減っています。厚生労働省の資料では、国家試験の受験者数は2016年の7,122名から2026年には4,434名と、約38%減少しました。全国柔道整復学校協会「2025年度入学者調査」でも、定員3,332名に対して入学者は2,308名(定員充足率 約69.3%)にとどまっています。
人材が集まりにくい2026年時点では、スタッフが定着するよう働き方を整える院と、そうでない院の差が広がっています。だからこそ、職場を見極める目がこれまで以上に大切です。
人が辞めない院と辞めやすい院の違い
人が辞めない院は、ルールが明文化されていて、院長の気分で働き方が変わりません。主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 人が辞めない院 | 人が辞めやすい院 |
|---|---|---|
| 労働時間 | 退勤時刻が守られ、残業代が出る | 閉院後の片付けや練習が無給 |
| 給与・評価 | 昇給の基準が決まっている | 院長の判断次第であいまい |
| 教育 | マニュアルや研修がある | 「見て覚えろ」が基本 |
| 休日 | 週休2日で有給も取りやすい | 週休1日で有給が取りにくい |
| 人間関係 | 相談できる上司・同僚がいる | 院長のワンマン体制 |
見学のときは、スタッフ同士が自然に声をかけ合っているかも見てみましょう。休憩室でため息ばかり聞こえる院は、注意したいサインです。
見学・面接で定着率を確認する4つの手順
職場の定着率は、見学と面接で質問すればある程度わかります。次の順番で確認すると、聞きにくいことも自然に聞けます。
- 求人票の勤務時間・休日・給与を書き出し、疑問点をメモする
- 見学で、閉院後の片付けや練習にかかる時間を聞く
- 面接で、スタッフの平均勤続年数と直近1年の退職者数を聞く
- 昇給の基準と、実際に昇給した人の例を確認する
平均勤続年数や退職者数を答えられない院、はぐらかす院は慎重に考えましょう。整骨院以外の選択肢も含めて考えたい方は、柔道整復師のおすすめ転職先で詳しく紹介しています。
よくある質問(FAQ)
柔道整復師の離職率は何%ですか?
柔道整復師だけを対象にした公的な離職率の統計はありません。近いデータとして、厚生労働省の調査では医療・福祉業界の3年以内離職率が高卒49.3%、大卒41.5%です。出典がはっきりしない「〇%」という数字には注意しましょう。
柔道整復師は何年目で辞める人が多いですか?
就職から3年以内に辞める人が多い傾向です。柔道整復師が含まれる医療・福祉業界では、新卒の4割以上が3年以内に離職しています。1〜2年目は給料の低さや長い拘束時間に悩みやすく、仕事を一通り覚えた頃に今後を考え直す人もいます。
柔道整復師を辞めたあと、どんな仕事に就けますか?
資格を活かせる仕事は整骨院以外にもあります。たとえば整形外科クリニック、介護施設の機能訓練指導員、スポーツトレーナー、独立開業などです。資格を手放さず、働く場所や働き方だけを変える人も多くいます。まずは自分が何を変えたいのかを整理しましょう。
離職率が低い整骨院を見分けるにはどうすればいいですか?
見学や面接で、スタッフの平均勤続年数と直近1年の退職者数を聞くのが確実です。あわせて、退勤時刻が守られているか、昇給の基準が決まっているかも確認しましょう。答えがあいまいな院は慎重に検討してください。
整骨院を辞めたいと思うのは甘えですか?
甘えではありません。医療・福祉業界では新卒の4割以上が3年以内に辞めており、悩むのは珍しいことではありません。大切なのは辞めたい理由を整理し、次の職場で同じ悩みを繰り返さないよう、条件を確かめてから動くことです。
まとめ|柔道整復師の離職率から考える、長く働ける職場選び
柔道整復師の離職率は、単独の公的データこそないものの、医療・福祉業界全体で見ると高い水準です。長い拘束時間や評価制度の不在など、辞める理由の多くは職場の仕組みに原因があります。
- 柔道整復師だけの離職率統計はなく、医療・福祉の3年以内離職率は4割超
- 辞める理由は拘束時間・給料・体の負担・人間関係・将来への不安
- 受験者が減る中、働きやすさを整える院とそうでない院の差が広がっている
- 見学・面接で勤続年数や退職者数を聞くと、定着率が見えてくる
「辞めたい」と感じるのは、あなたの努力不足ではありません。職場を変えることで、柔道整復師として長く働ける道が見えてくることもあります。
治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。「今の職場を続けるべきか分からない」「辞めたあとの働き方を知りたい」など、考えがまとまっていない段階でも大丈夫です。
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