「あん摩マッサージ指圧師はやめとけ」。資格を取ったあとや働き始めてから、ネットでこんな言葉を目にして不安になった方もいるのではないでしょうか。
あん摩マッサージ指圧師とは、あん摩・マッサージ・指圧を仕事として行える国家資格を持つ施術者のことです。3年以上養成校で学び、国家試験に合格してはじめて名乗れます。
この記事では、あん摩マッサージ指圧師が「やめとけ」「きつい」と言われる理由を、厚生労働省などの公的データをもとに整理します。そのうえで、将来性や後悔しない働き方、転職先の選び方まで解説します。
あん摩マッサージ指圧師が「やめとけ」「きつい」と言われる理由
あん摩マッサージ指圧師が「やめとけ」と言われる主な理由は、資格の苦労に対して給料が見合わないと感じやすいことと、体の負担や休みの少なさです。ただし、働く場所によって状況は大きく変わります。
年収が資格取得の苦労に見合わないと感じやすい
あん摩マッサージ指圧師の平均年収は、全労働者の平均とほぼ同じ水準です。厚生労働省「職業情報提供サイト(jobtag)」では平均年収443.3万円とされ、国税庁「民間給与実態統計調査」の全労働者の平均458万円を下回っています。
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとにした集計では、平均年収は約459万円です。3年以上学校に通って国家資格を取ったのに平均並み、と感じる人が多いのが実情です。
特に若手のうちは厳しくなりがちです。勤務1〜3年目は手取り20万円前後になることも珍しくありません。奨学金の返済が始まる時期と重なり、「この先やっていけるのか」と不安になる場面はよくあります。
体の負担と休みの少なさがきつい
あん摩マッサージ指圧師の仕事は、手指や腰への負担が大きい仕事です。1回20〜30分の施術を1日6〜8人こなすと、腱鞘炎や腰痛などの職業病に悩まされやすくなります。
夕方の予約が続いた日は、最後の患者さんを見送るころには親指に力が入らない。そんな経験をしたことがある方も多いはずです。年齢を重ねるほど、体力面での限界を感じる人が増える傾向があります。
休みの取りにくさも悩みの種です。医療キャリアナビの求人データでは、あん摩マッサージ指圧師の求人のうち完全週休2日制は22%にとどまります。土日祝日に営業する院が多く、家族や友人と予定を合わせにくい点もきつさにつながっています。体の痛みとの付き合い方は、身体の痛みに悩む治療家が長く働くための記事でも詳しく紹介しています。
あん摩マッサージ指圧師の将来性は?データで見る業界の今
あん摩マッサージ指圧師の将来性は、働く分野によって明暗が分かれています。施術所の数は減っている一方で、高齢化を背景に訪問マッサージや介護施設での需要は伸びています。
就業者は増えたが、施術所は減り続けている
働いているあん摩マッサージ指圧師の数は、この10年ほどで増えました。厚生労働省「衛生行政報告例」によると、就業者は2012年の109,309人から2022年には121,565人になり、2024年は119,703人でした。
一方で、あん摩・マッサージ・指圧を行う施術所は減っています。同じ「衛生行政報告例」では、2012年の19,880カ所から2024年には17,831カ所まで減少しました。
背景の一つが、無資格のリラクゼーション店との価格競争です。もみほぐし店などが多く出店し、利用者が資格の有無より料金の安さで店を選ぶケースもあります。国家資格を持っているのに同じ土俵で比べられることに、モチベーションを落とす人も少なくありません。業界全体の構造については、治療家業界がブラックと言われる理由をまとめた記事も参考になります。
訪問マッサージの需要は高齢化で伸びている
成長している分野が、医療保険を使った訪問マッサージです。訪問マッサージは国家資格が前提となるため、無資格の店と競合しにくいのが大きな強みです。
医療キャリアナビの掲載データ(2026年4月時点)では、あん摩マッサージ指圧師の求人2,706件のうち、訪問マッサージは589件で約22%を占めています。訪問マッサージ求人の平均月給は約28.2万円で、79%が未経験可でした。
勤務時間が規則的で残業が少なく、連続施術も少ないため、体への負担を減らしやすいのも特徴です。ただし、歩合制の職場では収入が安定しにくいこともあるため、給与体系の確認は欠かせません。
あん摩マッサージ指圧師が後悔しない働き方と転職先の選び方
あん摩マッサージ指圧師が後悔しないためには、資格を手放すかどうかより先に「どこで働くか」を見直すことが大切です。職場ごとに給料・休日・体の負担のバランスが大きく違います。
職場ごとの平均月給と働き方の違い
あん摩マッサージ指圧師の主な就職先は、整骨院・鍼灸院、訪問マッサージ、介護施設などです。医療キャリアナビの求人データをもとに、平均月給と働き方の特徴を表にまとめました。
| 就職先 | 平均月給 | 働き方の特徴 |
|---|---|---|
| 整骨院・接骨院 | 30.1万円 | 給料は高めだが、営業時間が長く土日勤務も多い |
| 鍼灸院 | 29.9万円 | 鍼灸と組み合わせた施術で専門性を高めやすい |
| 訪問マッサージ | 28.2万円 | 勤務時間が規則的で、無資格店と競合しにくい |
| デイケア・デイサービス | 25.3万円 | 機能訓練など介護分野で資格を活かせる |
| 特別養護老人ホーム | 24.5万円 | 給料は控えめだが、生活リズムを整えやすい |
月給だけで比べると整骨院が高く見えますが、拘束時間を含めると印象は変わります。営業時間が9時〜21時の院では、準備や片付けを含めて12時間以上拘束されることもあるからです。
転職で失敗しないための4つの手順
転職で失敗しないためには、勢いで辞める前に「何がつらいのか」をはっきりさせることが近道です。次の手順で整理してみてください。
- 今の職場でつらいことを「給料・体・休日・人間関係」に分けて書き出す
- 一番ゆずれない条件を1つ決める(例:週休2日、残業なし)
- その条件を満たしやすい職場の種類を、上の表から選ぶ
- 見学や面接で、歩合の有無や1日の施術人数を具体的に確認する
少人数の治療院では、人間関係の悩みが退職に直結しやすい傾向があります。同じあん摩マッサージ指圧師がどんな不満を抱えているかは、あん摩マッサージ指圧師の職場の不満を集めた記事で読めます。
よくある質問(FAQ)
あん摩マッサージ指圧師の年収は低いですか?
全労働者の平均とほぼ同じ水準で、極端に低いわけではありません。厚生労働省のjobtagでは平均年収443.3万円です。ただし若手のうちは手取り20万円前後のことも多く、資格取得の苦労に見合わないと感じる人がいます。
あん摩マッサージ指圧師は何歳まで働けますか?
資格に年齢の上限はなく、体力に合った職場を選べば長く働けます。年齢とともに体力の限界を感じる人は多いものの、連続施術が少ない訪問マッサージや介護施設に移ることで、負担を減らしながら働き続ける道があります。
訪問マッサージは未経験でも働けますか?
未経験から働ける求人は多くあります。医療キャリアナビの掲載データ(2026年4月時点)では、訪問マッサージ求人の79%が未経験可でした。ただし歩合制の職場もあるため、固定給の有無は事前に確認しましょう。
無資格のマッサージ店とは何が違うのですか?
あん摩マッサージ指圧師は国家資格で、医療保険を使った訪問マッサージなど資格者にしかできない仕事があります。無資格のリラクゼーション店とは法律上の立場が異なり、資格を活かせる分野を選ぶと価格競争に巻き込まれにくくなります。
あん摩マッサージ指圧師を辞めたら資格は無駄になりますか?
無駄にはなりません。介護施設の機能訓練や訪問マッサージなど、高齢化で需要が伸びている分野で資格を活かせます。治療院を辞めることと資格を手放すことは別ものなので、働く場所を変える選択肢も検討しましょう。
まとめ|あん摩マッサージ指圧師は「やめとけ」ではなく「職場選び」が大切
あん摩マッサージ指圧師が「やめとけ」と言われるのは、給料・体の負担・休日の少なさが重なりやすいからです。ただし、その多くは働く場所によって変えられます。
- 平均年収は全労働者とほぼ同じ水準で、若手のうちは厳しくなりやすい
- 施術所は減っているが、就業者は増え、訪問マッサージの需要は伸びている
- 整骨院・訪問・介護施設など、職場ごとに給料と負担のバランスが違う
- 転職前に、つらいことと一番ゆずれない条件をはっきりさせる
「やめとけ」という言葉だけで、せっかくの国家資格をあきらめる必要はありません。自分の体と生活に合う働き方を探すことで、長く続けられる道が見えてきます。
治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。「今の院を続けるべきか迷っている」「訪問マッサージや介護施設の働き方を知りたい」など、どんな段階のお悩みでも大丈夫です。
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