「いつかは開業したい」「分院長を任されそうだけど、何が必要かよくわからない」と考えていませんか。整骨院で保険を使った施術を行うには、施術管理者の要件を満たす必要があります。
施術管理者とは、療養費の受領委任(患者さんの窓口負担以外の分を、施術所が保険者に請求する仕組み)を取り扱う施術所ごとに置く、責任者の柔道整復師のことです。2018年4月から、施術管理者になるには実務経験と研修の受講が必要になりました。
この記事では、厚生労働省の情報をもとに、柔道整復師が施術管理者になるための要件と、実務経験を積む職場の選び方を解説します。
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施術管理者とは?開業・分院長に必要になる理由
施術管理者は、整骨院で保険(療養費)を使った施術を受領委任で取り扱うために欠かせない責任者です。開業する人や、分院を任される人は、施術管理者の要件を満たしていることが前提になります。
厚生労働省の衛生行政報告例(2024年末)によると、柔道整復の施術所は50,924か所あります。多くの整骨院が保険の施術を行っており、そのたびに施術管理者を中心とした請求の手続きが行われています。
受領委任と施術管理者の関係
受領委任とは、患者さんが窓口で自己負担分だけを支払い、残りの療養費を施術所が患者さんに代わって保険者に請求する仕組みです。この取り扱いをするには、施術所ごとに施術管理者を決めて、地方厚生(支)局などに申し出る必要があります。
施術管理者は、療養費の請求が正しく行われるよう管理する責任を負います。不正な請求があった場合は、施術管理者が責任を問われることもあるため、名前だけの施術管理者になることは避けなければなりません。
受領委任の仕組みがあるからこそ、患者さんは整骨院で保険を使いやすくなっています。その分、施術所には正しい請求が強く求められています。
開業・分院長と施術管理者
自分で整骨院を開業する場合、保険の施術を行うなら、自分が施術管理者になるのが一般的です。グループ院の分院長になる場合も、その院の施術管理者として届け出ることが多いでしょう。
分院長の打診を受けて「実務経験が足りるかわからない」と慌てる、というのはよくあるケースです。打診を受けたときの考え方は整骨院で分院長を打診されたときの記事も参考にしてください。
開業の時期から逆算して、何年目にどの職場で経験を積むかを考えておくとよいでしょう。
施術管理者の要件は実務経験3年と研修の受講
2024年度以降に施術管理者になるには、柔道整復師として3年以上の実務経験と、2日間(16時間以上)の施術管理者研修の修了が必要です。実務経験のうち、病院や診療所など保険医療機関で働いた期間は2年までしか数えられません。
夜の受付締めのあと、先輩の施術管理者が療養費の申請書を一枚ずつ確認している姿を見て、「自分もいずれこの立場になるのか」と意識し始める人もいるでしょう。要件を早めに知っておくと、キャリアの計画が立てやすくなります。
要件は今後も見直される可能性があるため、目指す時期が近づいたら最新の案内を確認しましょう。
必要な実務経験の年数の変化
施術管理者に必要な実務経験の年数は、段階的に引き上げられてきました。厚生労働省の案内をもとにまとめると、次のとおりです。
| 施術管理者を申し出る時期 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 2018年4月〜2022年3月 | 1年以上 |
| 2022年4月〜2024年3月 | 2年以上 |
| 2024年4月以降 | 3年以上(うち保険医療機関での従事は2年まで) |
2026年の今、これから施術管理者を目指す人は、3年以上の実務経験が必要です。
実務経験の要件が厳しくなった背景には、療養費の不正請求を防ぎ、施術所の管理の質を高めるねらいがあります。
施術管理者研修の内容
施術管理者研修は、公益財団法人柔道整復研修試験財団が実施しています。2日間で16時間以上の研修を受け、修了すると修了証が交付されます。
研修では、職業倫理や適切な保険請求、施術所の管理など、施術管理者として必要な知識を学びます。日程や申し込み方法は財団の案内で確認しましょう。実務経験の年数が近づいたら、早めに日程を確認しておきましょう。
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実務経験を積む職場の選び方と注意点
施術管理者を目指すなら、実務経験の証明をきちんと出してもらえる職場で、保険請求を正しく行っている院を選ぶことが大切です。経験の年数だけでなく、その中身も将来の院の運営に直結します。
柔道整復師の養成課程では、不正請求を防ぐために職業倫理や社会保障制度の授業が加わり、修了に必要な単位数が85単位から99単位に引き上げられました。業界全体で、保険請求の適正化が重視されているということです。
実務経験として数えるための注意点
実務経験は、施術管理者を申し出るときに証明書で示す必要があります。経験を積む段階で、次の点を確認しておきましょう。
- 実務経験の期間を、勤務先に証明してもらえるか
- 勤務先の施術所が、受領委任の取り扱いをしているか
- 病院や診療所での勤務は、2年までしか数えられないこと
- 退職した職場にも、あとから証明を頼む可能性があること
転職を重ねた人は、それぞれの職場で証明をもらう必要があります。円満に退職しておくことは、施術管理者を目指すうえでも大切です。
証明書の書式は、地方厚生(支)局などの案内で確認できます。前の職場の施術管理者の名前や在籍期間は、メモに残しておくと安心です。
経験を積む職場を選ぶポイント
施術管理者として独り立ちすることを考えると、次のような職場で経験を積むのがおすすめです。
- 療養費の請求のルールを、施術管理者から直接学べる
- 受付や会計、レセプトの作成など、院の運営にも関われる
- 保険の施術だけでなく、自費の施術の経験も積める
- 不正な請求を求められない、コンプライアンスを大切にする院である
部位の水増しなどの不正請求に関わると、将来施術管理者になれなくなるおそれもあります。業界の問題点は接骨院の闇と不正請求について解説した記事、開業の準備は整骨院・鍼灸院の開業に必要なことの記事も参考にしてください。
面接では「将来は施術管理者を目指したい」と伝え、どのように学べるかを聞いてみましょう。答え方から、院の教育への姿勢が見えてきます。
よくある質問(FAQ)
柔道整復師の免許を取ってすぐに開業できますか?
施術所を開設すること自体は、免許を取ってすぐでも可能です。ただし、保険を使った施術を受領委任で取り扱うには、施術管理者として3年以上の実務経験と研修の修了が必要です。自費の施術だけで始めるか、経験を積んでから開業するかを考えましょう。
整形外科での勤務は、施術管理者の実務経験に含まれますか?
病院や診療所などの保険医療機関で柔道整復師として働いた期間は、実務経験に含められます。ただし、数えられるのは2年までです。3年の要件を満たすには、少なくとも1年は施術所での実務経験が必要になります。
実務経験の3年は、いつから数えますか?
柔道整復師の免許を取得して、柔道整復師として働き始めてからの期間を数えます。学生時代のアルバイトや、免許取得前の助手としての勤務は含まれません。正確な扱いは、申し出先の地方厚生(支)局などの案内で確認しましょう。
分院長を任されたら、必ず施術管理者になる必要がありますか?
その院で保険の施術を受領委任で取り扱い、自分が責任者になる場合は、施術管理者として申し出るのが一般的です。要件を満たしていないのに名前だけ使われる、といった扱いは問題になるおそれがあります。打診を受けたら、役割を確認しましょう。
施術管理者になると、給料は上がりますか?
施術管理者になったことで給料が自動的に上がるわけではなく、院の給与制度によって違います。分院長や院長として役職手当がつく場合や、売上に応じた歩合が加わる場合もあります。求人や面接で、役職ごとの給与の決まり方を確認しましょう。
まとめ
施術管理者は、整骨院で保険の施術を受領委任で取り扱うために欠かせない責任者です。2024年度以降は、3年以上の実務経験(保険医療機関は2年まで)と、2日間の施術管理者研修の修了が必要です。
開業や分院長を目指すなら、実務経験の証明を出してもらえ、保険請求を正しく行っている職場で経験を積みましょう。経験の中身が、将来の院の運営を支える力になります。
3年という期間は、どの院で過ごすかによって得られる経験が大きく変わります。
施術管理者を目指すキャリアは、どの職場で経験を積むかで大きく変わります。将来の目標に合った職場選びで迷ったときは、お気軽にご相談ください。
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