「チラシに『肩こり・腰痛に効く』と大きく書いておいて」「SNSに『どんな不調も根本改善』と投稿して」。鍼灸院で働いていて、院長からこうした指示を受けたことはありませんか。
治療家コネクトは、柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師などの治療家に特化した人材紹介サービスです。転職相談では、「集客のために広告の文章を作らされるが、書いていい内容なのか分からない」という鍼灸師の声を聞くことがあります。集客に熱心な院ほど、広告ルールが後回しにされがちです。
この記事では、鍼灸院の広告について、あはき法で広告できる事項とできない表現、2025年に公表された広告ガイドライン、違反しやすい表現を頼まれたときの対処法を、自治体や厚生労働省の情報をもとに解説します。
「院の集客方法に疑問がある」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で話を聞くこともできます。
鍼灸院の広告で書けること・書けないこと
鍼灸院の広告は、あはき法第7条で「広告できる事項」が決められており、それ以外の内容は原則として広告できません。施術の効果や技術の高さをうたう表現は、ルール違反になるおそれがあります。
広告規制とは、施術所が広告に載せてよい内容を法律で限定する仕組みのことです。患者さんが誇大な宣伝にまどわされず、安全に施術を選べるようにするために設けられています。
あはき法で広告できる事項
鹿児島市の案内によると、あはき法第7条第1項で広告できるのは、主に次の事項です。
- 施術者である旨、氏名、住所
- 業務の種類(あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうの別)
- 施術所の名称、電話番号、所在地
- 施術日または施術時間
- 厚生労働大臣が指定する事項(もみりょうじ、やいと、小児鍼、届出をした旨、予約制、休日・夜間の施術、出張施術、駐車設備など)
同じ案内では、これらを広告する場合でも、施術者の技能、施術方法または経歴に関する内容を含めてはならないとされています。
違反になりやすい表現の例
院の集客で使われがちな表現のなかには、広告できる事項から外れるものが多くあります。
| 違反になりやすい表現 | 理由 |
|---|---|
| 「肩こり・腰痛・不眠に効く」 | 効果や適応症は広告できる事項に含まれない |
| 「〇〇式の独自技術」「熟練の技」 | 技能・施術方法に関する内容は含められない |
| 「〇〇大学卒の院長が施術」 | 経歴に関する内容は含められない |
| 「根本改善」「必ず治る」 | 効果を保証する誇大な表現 |
患者さんの声や写真の使い方にも注意
「患者さんの感想」や「施術前後の写真」を広告に載せたいと考える院もあります。しかし、体験談や写真は施術の効果を伝える内容になりやすく、広告できる事項から外れるおそれがあります。
患者さんの名前や顔が分かる情報を使う場合は、本人の同意も欠かせません。院長に頼まれても、まずはガイドラインと保健所の考え方を確認してから扱いを決めましょう。
鍼灸院で広告ルールが守られにくい業界の事情
鍼灸院で広告ルールが守られにくい背景には、競争の激しさと、院長自身がルールを正しく知らないという事情があります。2025年には厚生労働省が広告ガイドラインを公表し、ルールの周知が進められています。
開院して間もない院では、毎月の予約数が経営に直結します。「目立つ言葉を使わないと患者さんが来ない」と考え、スタッフに強い表現の広告を作らせる院長もいます。
鍼灸の施術所は増え続けている
厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例」によると、2024年末の「はり及びきゅうを行う施術所」は35,494か所で、前回の2022年より4.7%増えています。施術所が増えるほど、近隣の院との集客競争も激しくなります。
競争が激しい地域では、近くの院の目立つチラシに対抗しようとして、つい表現がエスカレートしてしまうことがあります。そうした院で働くスタッフが、広告づくりを任されるケースも少なくありません。
2025年に広告ガイドラインが公表された
文京区の案内によると、厚生労働省は2025年2月18日に「あはき・柔整広告ガイドライン」を策定・公表しました。区は、ガイドラインを確認して広告の適正化に努めるよう呼びかけています。
ホームページやSNSでの発信がどう扱われるかも含め、迷う表現はガイドラインと、施術所の所在地を担当する保健所の判断を確認するのが確実です。
広告を任されるのは若手スタッフが多い
SNSやホームページの更新は、「若い人のほうが得意だから」と、入社して間もないスタッフに任されることがよくあります。施術の合間や閉院後に、院長の指示どおりの文章で投稿を作る日が続く人もいます。
広告の内容に問題があったとき、作った本人が責められるのは理不尽です。任された仕事でも、ルールに反する内容は引き受けないという姿勢を持っておくことが、自分を守ることにつながります。
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違反しそうな広告づくりを頼まれたときの対処法
違反しそうな広告をつくるよう頼まれたら、根拠を示して「この表現は広告できる事項に入っていません」と伝え、代わりに書ける内容を提案するのが現実的な対処法です。ルールを守った集客の方法もあります。
頭ごなしに断ると角が立ちますが、院を守るための提案として伝えれば、受け入れてもらいやすくなります。
院長への伝え方
- 指示された表現をメモに残す
- 自治体の案内やガイドラインで、広告できる事項を確認する
- 「この表現は保健所から指導を受けるおそれがあります」と根拠とともに伝える
- 広告できる事項の範囲で、代わりの文章を提案する
- それでも強要される場合は、保健所への相談や働く場所の見直しを考える
ルールの範囲でできる集客の工夫
広告で効果をうたえなくても、院の魅力を伝える方法はあります。予約制であること、夜間や休日も施術していること、駐車場があることなどは、患者さんにとって大切な情報です。
開業を考えている鍼灸師にとっても、広告ルールの知識は欠かせません。開業準備の全体像は、鍼灸師の開業準備の手順で解説しています。
ルールを軽く見る院は他の面も要注意
広告のルールを守らない院は、労働時間や給料など、ほかのルールも軽く見ている場合があります。違和感が続くなら、ブラック鍼灸院で辞めるべきサインも確認してみてください。
よくある質問
鍼灸院のチラシに「腰痛に効く」と書くのは違反ですか?
違反になるおそれがあります。あはき法で広告できる事項は、施術者の氏名や施術所の名称、施術時間などに限られ、効果や適応症は含まれていません。迷う場合は、施術所の所在地を担当する保健所に確認するのが確実です。
院長にSNSで施術の効果を投稿するよう言われました。断ってもいいですか?
断って構いません。施術の効果をうたう表現は広告ルールに反するおそれがあり、院が指導を受ける原因にもなります。「保健所から指導を受けるおそれがあるので、予約や営業時間の案内に変えませんか」と、代わりの案と一緒に伝えると角が立ちにくくなります。
広告ガイドラインはどこで確認できますか?
厚生労働省が2025年2月18日に公表した「あはき・柔整広告ガイドライン」は、自治体のホームページなどで案内されています。施術所の所在地を担当する保健所でも相談できるので、具体的な表現に迷ったら問い合わせてみましょう。
広告ルールを守らない鍼灸院で働き続けても大丈夫ですか?
すぐに大きな問題になるとは限りませんが、院が指導を受けたときに広告をつくったスタッフが対応に追われることがあります。ルールを軽く見る院は、労働条件など他の面でも問題を抱えていることがあるため、働く場所を見直すきっかけにしてください。
鍼灸院の名前に「治療院」と付けても大丈夫ですか?
施術所の名称は広告できる事項に含まれますが、病院や診療所とまぎらわしい名称は認められません。「鍼灸治療院」のような名称は広く使われていますが、具体的な名称が使えるかどうかは、開設の届出先の保健所に確認するのが確実です。
まとめ
鍼灸院の広告は、あはき法第7条で広告できる事項が決められています。効果や技術、経歴をうたう表現は、ルール違反になるおそれがあります。
- 広告できるのは、施術者・施術所の基本情報や施術時間などに限られる
- 「〇〇に効く」「独自技術」などの表現は違反になりやすい
- 2025年2月18日に厚生労働省が広告ガイドラインを公表した
- 違反しそうな広告を頼まれたら、根拠と代わりの案を示して伝える
ルールを守る院で、安心して技術を磨ける環境を選んでください。
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