鍼灸師の業務委託は危ない?契約前に確認したい5つのこと

鍼灸院の施術室で契約書を前に腕を組み、業務委託で本当に稼げるか悩む男性の鍼灸師のイラスト
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「うちは業務委託だから、頑張った分だけ報酬が増えるよ」。鍼灸院の求人や知り合いの誘いで、こんな言葉を聞いたことはありませんか。

鍼灸師の業務委託は、契約内容を理解して選べば自由度の高い働き方です。ただし、契約の中身を確かめずに始めると、社会保険がない、報酬が想定より少ないといったトラブルにつながります。

業務委託とは、院に雇われるのではなく、個人事業主として施術の仕事を請け負う契約のことです。この記事では、鍼灸師が業務委託を選ぶ前に知っておきたいリスクと、契約前に確認すべき5つのことを解説します。

「業務委託と正社員のどちらがいいか迷っている」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で話してみることもできます。

目次

鍼灸師の業務委託は危ない?雇用との違い

業務委託そのものは危ない働き方ではありませんが、雇用に比べて法律による守りが少ないのが特徴です。メリットとデメリットを理解したうえで選ぶことが大切です。

総務省の「令和4年就業構造基本調査」(2022年)によると、本業がフリーランスの人は209万人で、働く人全体の3.1%でした。治療家の世界でも、業務委託やフリーランスという働き方は珍しくなくなっています。

厚生労働省の「衛生行政報告例」(2024年末)では、はり・きゅうを行う施術所が35,494か所と、2年前より4.7%増えました。施術所の増加に伴い、業務委託で鍼灸師を確保しようとする院も見られます。

雇用と業務委託の違い

項目 雇用(正社員・パート) 業務委託
社会保険 条件を満たせば院が加入させる 国民健康保険・国民年金に自分で加入
最低賃金・残業代 労働基準法で守られる 原則として適用されない
有給休暇 条件を満たせば取得できる なし(休めば報酬がない)
税金 院が源泉徴収・年末調整 自分で確定申告
働き方の自由度 院の指示に従う 時間や施術方法を自分で決められるのが原則

業務委託で起きやすいトラブル

よくあるのは、「業務委託」と言いながら、実際は正社員と同じように働かされるケースです。勤務時間やシフトを一方的に決められ、受付や掃除まで任されるのに、社会保険も残業代もない状態です。

月末に届いた報酬明細を見たら、「施設利用料」や「予約システム料」が差し引かれていて、思ったより手取りが少ない。こうした手数料のトラブルも少なくありません。

また、契約期間の途中で「来月から報酬の割合を下げる」と一方的に告げられるケースもあります。報酬の変更方法が契約書に書かれていないと、こうした変更に反論しにくくなります。

業務委託で働く鍼灸師を守るルール

業務委託で働く鍼灸師も、2024年11月に施行されたフリーランス法によって、一定のルールで守られるようになりました。院の側にも、守らなければならない義務があります。

フリーランス法で院に求められること

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)は、2024年11月1日に施行されました。労働局の案内によると、発注する事業者には次のような義務があります。

  • 業務内容・報酬額・支払期日などの取引条件を、書面やメールなどで明示すること
  • 報酬を、原則として給付を受けた日から60日以内に支払うこと
  • ハラスメント対策のための体制を整えること

口頭で「報酬は売上の40%ね」と言われただけで働き始めるのは避けましょう。取引条件が書面で示されていない場合は、明示を求めることができます。

報酬の支払いが遅れがちな場合や、理由なく減額された場合も、このルールに照らして院に確認できます。取引条件のやり取りはメールなど記録が残る形で行い、受け取った書面は保管しておきましょう。

実態が雇用なら「偽装請負」の可能性

契約が業務委託でも、院が勤務時間を一方的に決め、施術の方法や手順を細かく指示している場合は、実態として雇用とみなされる可能性があります。これを偽装請負と呼びます。

偽装請負と判断されると、さかのぼって残業代や社会保険料の問題が生じることがあります。働く側にとっても院にとってもリスクがあるため、契約の形と実際の働き方が合っているかを確認しましょう。

業務委託のリスクについては、業務委託はやめとけと言われる理由と契約前の確認点でも詳しく解説しています(整体師向けの記事ですが、考え方は共通です)。

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鍼灸師が業務委託の契約前に確認したい5つのこと

業務委託の契約前には、報酬の計算方法・差し引かれる費用・業務の範囲・働く時間の決め方・契約の終わり方の5つを確認しましょう。この5つが書面で明確になっていれば、トラブルの多くは防げます。

契約前のチェック手順

  1. 報酬の計算方法:施術1回あたりの単価か、売上の何%かを確認する
  2. 差し引かれる費用:施設利用料・予約サイトの手数料・消耗品代の負担を確認する
  3. 業務の範囲:受付・電話対応・清掃など、施術以外の仕事が含まれていないか確認する
  4. 働く時間の決め方:シフトを自分で決められるか、院に指定されるかを確認する
  5. 契約の終わり方:契約期間、更新の方法、途中で解約するときの予告期間を確認する

報酬の計算例を、実際の数字で示してもらうのがおすすめです。「月に100人施術した場合、手元にいくら残るか」を聞けば、手数料を含めた実際の報酬がわかります。

契約書を受け取ったら、その場でサインせず、一度持ち帰って読む時間をもらいましょう。わからない言葉や納得できない条項があれば、質問して答えを書面に残してもらうことが大切です。

業務委託が向いている鍼灸師

業務委託が向いているのは、すでに自分の患者さんがいて、集客や確定申告も自分でこなせる人です。将来の独立に向けて、経営の感覚を身につけたい人にも合っています。

一方、経験が浅い方や、収入の安定を重視したい方は、まずは雇用で働き、技術と患者さんとの関係を育てるほうが安心です。今の職場がつらくて業務委託を考えている場合は、ブラック鍼灸院で働き続けていいかの判断基準もあわせて読んでみてください。働き方ごとの負担については、鍼灸師はきつい?働き方別の負担と年収の比較も参考になります。

よくある質問(FAQ)

鍼灸院の業務委託の報酬は、売上の何%くらいが一般的ですか?

院や地域によって大きく異なり、決まった相場はありません。大切なのは割合だけでなく、手数料や消耗品代など差し引かれる費用を含めて、手元にいくら残るかで比べることです。具体的な計算例を示してもらいましょう。

業務委託の鍼灸師でも、社会保険に入れますか?

業務委託では院の社会保険には入れず、国民健康保険と国民年金に自分で加入するのが基本です。ただし、働き方の実態が雇用と変わらない場合は、雇用契約として扱われる可能性があります。

業務委託の契約書がない場合はどうすればいいですか?

フリーランス法により、院には業務内容や報酬額などの取引条件を書面やメールで明示する義務があります。まずは院に明示を求めましょう。応じてもらえない場合は、都道府県の労働局などに相談できます。

業務委託から正社員に切り替えることはできますか?

院が認めれば可能です。働くなかで「やはり安定した雇用がいい」と感じたら、院に正社員への切り替えを相談してみましょう。難しい場合は、正社員として採用してくれる別の職場への転職も選択肢です。

業務委託の鍼灸師は確定申告が必要ですか?

必要です。業務委託の報酬は事業所得などとして、自分で確定申告をします。施術に使った道具や交通費などは経費にできる場合があるため、領収書や記録を残しておきましょう。

まとめ

鍼灸師の業務委託は、契約内容を理解して選べば自由度の高い働き方です。ただし、雇用に比べて法律による守りが少ないため、契約前の確認がとても大切です。

  • 業務委託では、社会保険・残業代・有給休暇が原則としてない
  • 2024年11月施行のフリーランス法で、取引条件の明示や60日以内の支払いが義務になった
  • 実態が雇用と変わらない場合は、偽装請負の可能性がある
  • 報酬・費用・業務範囲・働く時間・契約の終わり方の5つを確認する

迷ったときは、雇用と業務委託の両方の条件で、1年間に手元に残る金額を計算して比べてみましょう。

自分の経験や生活に合った働き方を選ぶことが、鍼灸師として長く活躍するための近道です。

治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。業務委託と正社員のどちらが合うか迷っている方も、お気軽にご相談ください。

まずは相談だけでも大丈夫です。話してみることで、気持ちや考えが整理できることもあります。

鍼灸院の施術室で契約書を前に腕を組み、業務委託で本当に稼げるか悩む男性の鍼灸師のイラスト

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