「資格のない受付スタッフが、忙しい時間帯にマッサージを担当している」「助手の子が電気をかけた後、そのまま手技までやっている」。整骨院で働いていて、こうした光景に違和感を覚えたことはありませんか。
治療家コネクトは、柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師などの治療家に特化した人材紹介サービスです。転職相談のなかで、「無資格のスタッフに施術をさせる院で働くのが不安」という声を聞くことがあります。求人票には決して書かれない、業界の裏側の一つです。
この記事では、整骨院で無資格スタッフが施術している問題について、法律のルール、そうした院が生まれる業界の事情、柔道整復師として働く側が巻き込まれるリスクと対処法を、公的機関の情報をもとに解説します。
「今の院のやり方に疑問がある」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で話を聞くこともできます。
整骨院で無資格スタッフが施術するのは違法?法律のルール
柔道整復は、柔道整復師の免許を持つ人(または医師)でなければ業として行えないと法律で定められています。無資格のスタッフが柔道整復にあたる施術を行うのは、法律に反するおそれがあります。
無資格施術とは、国家資格が必要な施術を、その資格を持たない人が仕事として行うことです。整骨院では、受付スタッフや「助手」と呼ばれるスタッフが、資格を持たないまま患者さんに手技を行うケースが問題になります。
柔道整復師法とあはき法の決まり
兵庫県の案内によると、柔道整復師法第15条では、医師である場合を除き、柔道整復師でなければ業として柔道整復を行ってはならないと定められています。あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうについても、あはき法第1条で免許が必要とされています。
同じ案内では、これらの規定に違反した場合の罰則があることも示されています。資格制度は、患者さんの体の安全を守るための仕組みです。
どこまでが「無資格施術」になるのか
受付や片付け、患者さんの誘導などは、資格がなくてもできる業務です。問題になるのは、資格が必要な施術そのものを無資格のスタッフが行う場合です。
| 業務 | 無資格スタッフが行う場合 |
|---|---|
| 受付・会計・予約管理 | 資格は不要 |
| ベッドへの案内・タオルの準備 | 資格は不要 |
| 捻挫や打撲への施術・固定 | 柔道整復師の免許が必要 |
| あん摩・マッサージ・指圧 | あん摩マッサージ指圧師の免許が必要 |
電気治療器の操作やストレッチの補助などは、院や自治体の判断が分かれやすい部分です。迷う業務がある場合は、施術所の所在地を担当する保健所に確認するのが確実です。
「研修中だから」は理由にならない
院によっては、資格取得を目指す学生や見習いのスタッフに「研修」として施術させていることがあります。しかし、研修という名目でも、患者さんに対して仕事として施術を行えば、資格が必要なことに変わりはありません。
養成校に通う学生が院で働く場合も、施術は資格を取ってからです。学生アルバイトに患者さんの手技を任せている院は、法令への意識が低いと考えたほうがよいでしょう。
無資格施術が起きる業界の事情
整骨院で無資格施術が起きる背景には、「人手不足」「患者数を回したい経営」「人件費を抑えたい」という業界の事情があります。患者さんの多い時間帯に、資格者だけでは手が回らない院で起こりやすい問題です。
夕方の混み合う時間、待合室に患者さんがあふれ、院長から「〇〇さんのマッサージ、受付の子に入ってもらって」と指示が飛ぶ。そうした場面を見て、モヤモヤしたまま施術を続けている柔道整復師もいます。
人手不足と回転重視の経営
厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例」によると、2024年末に就業している柔道整復師は78,666人です。一方で、柔道整復の施術所は50,924か所あり、1つの施術所あたりの資格者は決して多くありません。
限られた人数で多くの患者さんを診ようとすると、「資格のないスタッフにも手技をさせればいい」という発想が生まれることがあります。求人票に「未経験・無資格でも施術を学べる」と書かれている場合は、特に注意が必要です。
無資格の手技による事故も報告されている
消費者庁は2017年5月26日、法的な資格制度がない手技による施術で、1,483件の事故情報が寄せられていると公表しました(2009年9月から2017年3月末までの登録分)。この注意喚起では、そのうち治療期間が1か月以上の事故が240件と、全体の約16%を占めるとされています。
整骨院の中で無資格のスタッフが施術をすれば、同じような事故が起こる可能性があります。事故が起きたとき、同じ院で働く柔道整復師も無関係ではいられません。
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無資格施術がある院で働く柔道整復師のリスクと対処法
無資格施術がある院で働き続けると、事故やトラブルに巻き込まれたり、院の不正に加担したと見られたりするリスクがあります。違和感があるなら、記録を残し、相談先を確保したうえで、働く場所を見直すことが大切です。
「自分がやっているわけではないから」と思っていても、指示を受けて見て見ぬふりをする立場になることがあります。早めに自分を守る行動をとりましょう。
働く側が巻き込まれやすいリスク
- 無資格スタッフの施術で起きた事故の対応を任される
- 施術録に、実際には自分が行っていない施術を記録するよう指示される
- 保険請求に関わる不正に巻き込まれる
- 後輩の無資格スタッフの「指導係」を任され、加担しているように見える
保険請求のごまかしに関わる問題は、接骨院の闇と不正請求に巻き込まれない職場の選び方でも解説しています。
違和感があるときの対処の手順
- いつ、誰が、どんな施術をしていたかをメモに残す
- 自分が行っていない施術の記録には署名しない
- 信頼できる先輩や院長に、懸念をはっきり伝える
- 改善されない場合は、施術所の所在地を担当する保健所に相談する
- 同時に、法令を守っている職場への転職を検討する
無資格施術のない職場の見分け方
見学のときに、施術をしているスタッフが全員資格者かどうかを確認しましょう。「スタッフの方は全員資格をお持ちですか」と聞くだけでも、院の姿勢が分かります。
パワハラなどで院長に意見を言いにくい場合は、整骨院のパワハラの相談先も参考にしてください。
よくある質問
整骨院の受付スタッフがマッサージをするのは違法ですか?
あん摩・マッサージ・指圧を仕事として行うには、あん摩マッサージ指圧師の免許が必要です。資格のない受付スタッフが患者さんにマッサージをするのは、法律に反するおそれがあります。どこまでが施術にあたるか迷う場合は、保健所に確認しましょう。
院長に無資格スタッフへの施術を指導するよう言われました。断ってもいいですか?
断って構いません。資格が必要な施術を無資格のスタッフに教えて行わせることは、法律に反するおそれがあり、事故が起きたときに指導した側も責任を問われかねません。断るときは「法律上できないので」と理由をはっきり伝えましょう。
無資格施術を保健所に相談したら院長にばれますか?
相談したからといって、すぐに相談者の名前が院に伝わるわけではありません。相談の際に、名前を伏せてほしいと伝えることもできます。心配な場合は、転職先を決めてから相談するなど、自分の立場を守る順番で動くと安心です。
無資格施術がある整骨院はすぐ辞めるべきですか?
すぐに辞めるかどうかは状況によりますが、改善の見込みがないなら転職を考えてよいサインです。事故や不正に巻き込まれるリスクを抱えたまま働き続けるより、法令を守る職場で経験を積むほうが、長い目で見て自分のキャリアを守れます。
整骨院で働く学生アルバイトが施術を手伝うのは問題ですか?
養成校の学生であっても、国家資格を取るまでは、患者さんへの施術を仕事として行うことはできません。受付や片付け、施術の準備などの補助にとどめるのが基本です。学生に施術をさせている院は、法令への意識が低い可能性があります。
まとめ
整骨院で無資格のスタッフが施術を行うことは、法律に反するおそれがあり、患者さんの安全にも関わる問題です。人手不足や回転重視の経営が、その背景にあります。
- 柔道整復は柔道整復師法第15条で、免許を持つ人だけが業として行える
- 無資格の手技による事故は、消費者庁に1,483件寄せられている
- 働く側も事故や不正に巻き込まれるリスクがある
- 記録を残し、保健所への相談や転職を検討する
資格を持つ専門職として、胸を張って働ける職場を選んでください。
治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。法令を守る整骨院で働きたい方、今の院のやり方に疑問を感じている方も、お気軽にご連絡ください。まずは相談だけでも大丈夫です。



