整骨院のサービス残業は違法?柔道整復師ができる対処法

閉院後の薄暗い施術室でカルテを書きながら、サービス残業に疑問を感じる男性の柔道整復師のイラスト
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最後の患者さんを見送ってから、ベッドの片付け、カルテ整理、売上の入力。タイムカードはもう押したのに、帰れるのは1時間後。そんな毎日が当たり前になっていませんか。

整骨院のサービス残業は、院の指示や黙認のもとで働いた時間であれば、原則として違法です。働いた時間には、残業代が支払われる必要があります。

サービス残業とは、実際に働いたのに残業代が支払われない時間外労働のことです。この記事では、柔道整復師が知っておきたいサービス残業のルールと、残業代を取り戻すための具体的な対処法を解説します。

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目次

整骨院のサービス残業は違法?労働時間になる作業

院長の指示がある作業や、やらないと仕事が回らない作業は、閉院後でも労働時間にあたります。労働時間にあたる以上、その分の賃金を支払わないのは労働基準法違反です。

労働基準法第37条では、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働かせた場合、通常の賃金の25%以上を上乗せした割増賃金を支払うよう定めています。

労働時間にあたる作業の例

整骨院でよくある次のような作業は、労働時間にあたる可能性が高いものです。

  • 閉院後のベッドや器具の片付け、院内の清掃
  • カルテの記入や、レセプト・売上のシステム入力
  • 院長に参加を求められる朝礼・ミーティング
  • 参加が事実上強制されている閉院後の技術練習
  • 開院前の準備(受付や施術室のセッティング)

「自主練習だから」と言われていても、参加しないと評価が下がる、注意されるといった状況なら、実態は強制とみなされることがあります。

判断のポイントは、「院長の指揮命令のもとにあるかどうか」です。作業の指示を受けていなくても、やらなければ翌日の営業に支障が出る作業は、黙認された労働として扱われることがあります。

「タイムカードを押してから作業」は要注意

よくあるのが、閉院時刻にタイムカードを押させ、その後に片付けや入力作業をさせるケースです。記録上は残業がゼロでも、実際に働いていれば労働時間にあたります。

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、使用者が始業・終業の時刻を確認し、適正に記録することを求めています。打刻と実態がずれている状態は、本来あってはならないものです。

受付の電気を消したあと、薄暗い施術室でカルテを書き続ける。その時間も、あなたが院のために働いている時間です。

サービス残業が起きやすい整骨院の特徴

サービス残業が起きやすいのは、労働時間を正しく記録していない院や、固定残業代で「残業代は払っている」と考えている院です。求人票の書き方や職場の空気から、ある程度見分けることができます。

厚生労働省の発表では、2024年に労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案は22,354件、対象の労働者は185,197人、金額は172億1,113万円でした。賃金の未払いは、決して珍しい問題ではありません。

固定残業代(みなし残業)の誤解

固定残業代とは、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う仕組みです。ただし、設定された時間を超えて働いた分は、別に支払う必要があります。

「みなし残業だから、どれだけ残っても残業代は出ない」という説明は誤りです。求人票の見方は、柔道整復師の年収に潜む「みなし残業代」の罠で詳しく解説しています。

また、給与明細に固定残業代が何時間分・いくらと明記されていない場合は、そもそも固定残業代として有効でない可能性もあります。基本給と固定残業代が区別されているかを、一度確認しておきましょう。

職場の空気でサービス残業が当たり前になっている

「みんな残っているから」「新人は練習するのが当たり前」という空気がある院では、サービス残業が常態化しやすくなります。院長に悪気がない場合もあり、声を上げにくいのが難しいところです。

サービス残業のほかにも、長時間労働やノルマなど気になる点が多い場合は、整骨院がブラックかどうかの見分け方もチェックしてみてください。

一つひとつは小さな時間でも、1日1時間なら月に20時間を超えます。それが1年続くと、大きな金額になることを知っておきましょう。

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サービス残業の残業代を取り戻す手順と相談先

残業代を取り戻すには、働いた時間の記録を残し、院に請求し、それでも払われなければ労働基準監督署などに相談する、という順番で進めます。記録さえあれば、退職後でも請求できます。

2020年4月施行の労働基準法の改正により、賃金を請求できる期間は、当分の間3年となりました(それ以前は2年)。2020年4月以降に支払われるはずだった賃金が対象です。

残業代を請求するまでの手順

  1. 実際の始業・終業時刻を、毎日メモやスマホに記録する
  2. タイムカードのコピー、給与明細、シフト表を保管する
  3. 院長に、未払いの残業代があることを伝えて支払いを求める
  4. 払われない場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する
  5. 金額が大きい場合や交渉が難しい場合は、弁護士に相談する

厚生労働省によると、2024年の賃金不払事案のうち96.2%は、監督署の指導により使用者が支払い、解決しています。一人で抱え込まず、公的な窓口を頼ることが解決への近道です。

院長に直接伝えるのが難しい場合は、メールや書面で請求する方法もあります。いつ、何時間分を、いくら請求したのかを残しておくと、その後に相談するときにも役立ちます。感情的にならず、記録をもとに淡々と伝えることがポイントです。

退職を考えるなら、記録を残してから動く

サービス残業に限界を感じて退職を考えている場合も、まずは記録を残しておくことが大切です。退職してからでは、タイムカードのコピーなどを手に入れにくくなります。

退職の進め方については、柔道整復師の退職マニュアルで手順を紹介しています。次の職場では、労働時間の管理がきちんとしているかを見学や面接で確かめましょう。

面接では「閉院後の片付けや練習は、勤務時間に含まれますか」と具体的に聞くと、院の考え方がよくわかります。答えがあいまいな院は、入社後も同じ悩みをくり返すおそれがあります。

よくある質問(FAQ)

整骨院で閉院後に練習するのは残業になりますか?

院長の指示や、参加しないと不利になる状況での練習なら、労働時間にあたる可能性が高いです。本当に自由参加で、参加しなくても何の不利益もない自主練習であれば、労働時間にはあたらないと考えられます。

タイムカードがない整骨院でも残業代を請求できますか?

請求できます。スマホのメモ、家族へのメッセージの送信時刻、パソコンのログなども、働いた時間を示す証拠になります。毎日の始業・終業時刻を、できるだけ具体的に記録しておきましょう。

退職したあとでも、整骨院に残業代を請求できますか?

できます。賃金を請求できる期間は当分の間3年とされており、退職後でも期間内であれば請求できます。ただし、時間がたつほど記録を集めにくくなるため、在職中から証拠を残しておくことが大切です。

労働基準監督署に相談したら、院にばれますか?

相談しただけで、院に名前が伝わることは通常ありません。監督署が調査に入る場合でも、相談者が誰かを伏せるよう配慮を求めることができます。不安な場合は、相談の際に匿名を希望すると伝えましょう。

みなし残業代が出ているなら、それ以上の残業代はもらえませんか?

もらえます。固定残業代は、決められた時間分の残業代を前払いしているだけです。その時間を超えて働いた分は、別に支払う必要があります。給与明細で、固定残業代が何時間分かを確認しましょう。

まとめ

整骨院のサービス残業は、院の指示や黙認のもとで働いた時間であれば、原則として違法です。閉院後の片付けや入力作業も、労働時間にあたる可能性があります。

  • 指示された作業や強制的な練習は労働時間にあたる
  • 固定残業代があっても、超えた分は別に支払う必要がある
  • 賃金を請求できる期間は当分の間3年
  • 記録を残し、院への請求、公的窓口への相談の順で進める

働いた時間が正しく評価される職場で働くことは、長くこの仕事を続けるための大切な条件です。

治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。今の職場の働き方に疑問を感じている方も、次の職場を探したい方も、お気軽にご相談ください。

まずは相談だけでも大丈夫です。話してみることで、気持ちや考えが整理できることもあります。

閉院後の薄暗い施術室でカルテを書きながら、サービス残業に疑問を感じる男性の柔道整復師のイラスト

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