気になる整骨院の求人票を見たら、待遇欄に「社会保険なし」。給料は悪くないのに、このまま応募していいのか迷っていませんか。
社会保険なしの整骨院は、それだけで違法とは限りません。ただし、院の形態によっては加入が義務なのに入っていないケースもあります。
ここでいう社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のことです。この記事では、柔道整復師が「社会保険なし」の求人を見たときに確認したいポイントを、公的な情報をもとに整理します。
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社会保険なしの整骨院は違法?加入義務の考え方
社会保険なしが違法かどうかは、院が「法人」か「個人事業」か、そして従業員の人数で決まります。法人の整骨院なら、条件を満たすスタッフを社会保険に加入させる義務があります。
日本年金機構によると、株式会社などの法人の事業所は、事業主1人だけでも厚生年金保険の強制適用事業所です。一方、個人の事業所は、常時5人以上の従業員がいる場合に強制適用となります(一部の業種を除く)。
法人の整骨院で「社会保険なし」は要注意
院の運営元が株式会社や合同会社なら、正社員を社会保険に入れないのは原則として認められません。求人票の会社名や、院のホームページの会社概要で運営元を確認しましょう。
複数の院を展開するグループで「社会保険なし」と書かれている場合は、特に慎重に見るべきです。面接で理由を聞き、納得できる説明がなければ見送るのも一つの判断です。
求人票に法人名が書かれていない場合は、国税庁の「法人番号公表サイト」で院の名前を検索すると、法人かどうかを調べられます。応募前のちょっとした確認で、入社後の「こんなはずでは」を減らせます。
個人経営の小さな院では加入義務がない場合も
院長が個人で開業し、従業員が5人未満の院では、社会保険に加入する義務がないことがあります。この場合、スタッフは国民健康保険と国民年金に自分で加入します。
厚生労働省の「衛生行政報告例」(2024年末)では、柔道整復の施術所は50,924か所、施術所で働く柔道整復師は78,666人でした。1か所あたりにすると約1.5人で、少人数の院が多い業界だとわかります。
なお、2025年6月に成立した年金制度改正法では、2029年10月から、常時5人以上の個人事業所は業種を問わず社会保険の対象になります。ただし、すでにある事業所は当分の間、対象外とする経過措置があります。
社会保険なしの整骨院で働く前に知りたい影響
社会保険なしの職場では、将来の年金や病気のときの保障が、加入している場合より手薄になります。目先の手取りだけでなく、長く働いたときの差を考えて判断することが大切です。
年金・傷病手当金・保険料の違い
| 項目 | 社会保険あり | 社会保険なし(国保・国民年金) |
|---|---|---|
| 保険料 | 院と本人で折半 | 全額を自分で負担 |
| 将来の年金 | 国民年金に厚生年金が上乗せ | 国民年金のみ |
| 病気やけがで休んだとき | 傷病手当金がある | 原則として傷病手当金がない |
| 出産のとき | 出産手当金がある | 原則として出産手当金がない |
腰を痛めて1か月施術に立てなくなったとき、傷病手当金があるかどうかで生活の安心感は大きく変わります。体が資本の仕事だからこそ、保障の差は見落とせません。
また、社会保険に入っていると、扶養している家族も健康保険に入れます。結婚や出産を考えている方にとっては、将来の生活設計に直結するポイントです。
「業務委託だから社会保険なし」に注意
求人によっては、雇用ではなく業務委託契約として募集し、社会保険なしとしている場合があります。業務委託そのものは違法ではありませんが、働き方の実態が問題になることがあります。
契約が業務委託でも、勤務時間やシフトを院に一方的に決められ、施術方法を細かく指示されている場合は、実態は雇用とみなされる可能性があります。この場合、さかのぼって社会保険料の負担が発生するなど、院とのトラブルにつながりかねません。
業務委託の求人で確認したい点は、業務委託はやめとけと言われる理由と契約前の確認点も参考にしてください。
業務委託で働く場合は、報酬から自分で国民健康保険料・国民年金保険料・税金を支払うことになります。額面の報酬が正社員の月給より多く見えても、これらを差し引くと手元に残る金額が逆転することもあります。応募前に、年間でいくら残るかを一度計算しておきましょう。
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社会保険の有無を確認する方法と求人の見極め方
社会保険の有無は、求人票・面接・労働条件通知書の3段階で確かめるのが確実です。口頭の「あとで入れるよ」だけで入社を決めないようにしましょう。
入社前に確認する手順
- 求人票の待遇欄で「健康保険・厚生年金」の記載を確認する
- 運営元が法人か個人か、従業員数は何人かを確認する
- 面接で「入社日から加入できるか」「試用期間中はどうか」を質問する
- 内定後、労働条件通知書に社会保険の記載があるか確認する
求人票の言葉の読み方は、求人票の「アットホーム」「みなし残業」の裏の見抜き方で詳しく紹介しています。
見学の際に、スタッフの年齢層や勤続年数をさりげなく聞いてみるのも有効です。
「試用期間中は社会保険なし」は要確認
「試用期間の3か月は社会保険なし」と説明される院もありますが、加入義務のある事業所では、試用期間中であっても原則として入社日から加入が必要です。説明に違和感があれば、年金事務所に相談することもできます。
社会保険の扱いがあいまいな院は、残業代や有給など、ほかの労務管理もあいまいなことがあります。柔道整復師向けのブラック求人票の見分け方とあわせて、総合的に判断しましょう。
休憩中にスマホで求人票を比べていると、給与の数字ばかりに目が行きがちです。待遇欄の一行まで読むことが、長く安心して働ける職場選びにつながります。
社会保険が完備されていない院でも、院長が誠実に事情を説明し、将来の加入予定を具体的に話してくれることもあります。大切なのは、説明が具体的で、書面にも残してもらえるかどうかです。あいまいな返事しか返ってこない場合は、ほかの求人と比べてから判断しても遅くありません。
よくある質問(FAQ)
社会保険なしの整骨院に入ったら、自分で何をすればいいですか?
住んでいる市区町村で、国民健康保険と国民年金の加入手続きをします。前の職場を辞めた翌日から14日以内に手続きするのが原則です。保険料は全額自己負担になるため、手取り額の計算に入れておきましょう。
整骨院の面接で社会保険について聞いても失礼になりませんか?
失礼にはなりません。社会保険は働くうえで大切な条件なので、確認するのは当然のことです。「入社日から加入できますか」と事実を確認する聞き方をすれば、印象が悪くなる心配はほとんどありません。
今の整骨院が加入義務があるのに社会保険に入れてくれない場合は?
まずは院に理由を確認し、それでも改善されない場合は、年金事務所に相談できます。給与明細や雇用契約書など、働いていることがわかる書類を手元に残しておくと相談がスムーズです。
社会保険なしでも給料が高ければ問題ないですか?
手取りが多く見えても、保険料を全額自分で払い、将来の年金も少なくなる点を考える必要があります。病気で休んだときの傷病手当金もないため、給与の差額と保障の差を比べて判断しましょう。
個人経営の整骨院で、あとから社会保険に入れるようになることはありますか?
あります。従業員が常時5人以上に増えた場合や、院が法人化した場合は、加入の対象になることがあります。また、加入義務のない院でも、従業員の半数以上の同意を得て申請すれば、任意で適用事業所になることができます。
まとめ
社会保険なしの整骨院は、院の形態と人数によっては違法ではありません。ただし、法人の院で加入させていない場合や、実態が雇用なのに業務委託としている場合は注意が必要です。
- 法人の整骨院は、条件を満たすスタッフの加入が原則として義務
- 個人経営で従業員5人未満の院は、加入義務がない場合がある
- 社会保険なしだと、厚生年金や傷病手当金がない
- 求人票・面接・労働条件通知書の3段階で確認する
長く働く職場だからこそ、給与の数字だけでなく保障まで含めて比べることが大切です。
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