整骨院で有給が取れないのは、多くの場合、労働基準法に照らして問題のある状態です。年次有給休暇とは、一定期間働いた人に法律で与えられる、休んでも給料が支払われる休日のことです。「うちは有給がない」と言われても、条件を満たしていれば有給は発生します。
「患者さんの予約が入っているから休めない」「有給の話をすると院長の機嫌が悪くなる」。整骨院で働く柔道整復師から、こうした声はよく聞かれます。この記事では、有給休暇の基本ルールと年5日の取得義務、取れないときの対処法を、厚生労働省の資料をもとに解説します。
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整骨院でも有給休暇は必ず発生する
整骨院でも、雇われて働く柔道整復師には、勤続6か月と出勤率8割以上の条件を満たせば有給休暇が必ず発生します。院の規模や業界の慣習に関係なく、労働基準法第39条で定められたルールです。
付与日数は勤続年数で決まる
正社員の場合、入職から6か月継続して働き、全労働日の8割以上出勤すると、10日の有給休暇が付与されます。その後は勤続年数に応じて日数が増え、6年6か月以上で年20日になります。
| 勤続年数 | 付与日数(正社員など) |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
パートやアルバイトでも、週の所定労働日数に応じて有給休暇が付与されます。週3日勤務などでも、条件を満たせば日数は少なくなるものの有給はあります。使わなかった有給は、2年で時効により消滅します。
「うちは有給がない」は通用しない
「小さい院だから有給はない」「試用期間中は対象外」といった説明は、法律上の根拠がありません。有給休暇は院が任意で与える福利厚生ではなく、条件を満たした労働者に当然に発生する権利です。
よくあるケースは、入職時に有給の説明がなく、給与明細にも残日数が書かれていない状態です。受付締め後のカルテ整理を終えて21時に帰る毎日のなかで、有給を使う発想自体がなくなっている人も少なくありません。まずは自分が何日持っているかを把握することが第一歩です。
給与明細に有給の残日数が書かれていない場合は、入職日から計算できます。たとえば4月1日に入職した正社員なら、同じ年の10月1日に10日、翌年の10月1日に11日が付与されます。前年に使わなかった分は翌年に繰り越せるため、2年分を合わせると20日以上になっていることもあります。
有給の年5日取得義務と、院が拒否できるケース
2019年4月から、年10日以上の有給が付与される人には、院が年5日を確実に取得させることが義務になりました。院が有給の取得を拒むことは原則できず、認められるのは時季をずらす「時季変更権」だけです。
年5日を取らせないと院が罰則の対象になる
年5日の取得義務に違反した場合、労働基準法により30万円以下の罰金の対象になります。罰則があるのは院の側で、働く人が取得しなかったことで責められるものではありません。
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、2024年の労働者1人あたりの有給付与日数は平均18.1日、取得日数は12.1日、取得率は66.9%で、いずれも過去最高の水準です。社会全体では有給を取るのが当たり前になりつつあります。
「忙しいから」は拒否の理由にならない
院ができるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に、別の日へずらしてもらうよう求めることだけです。「人が足りないからずっと無理」「有給は使わせない」といった扱いは、時季変更権の範囲を超えています。
一方で、繁忙期の土曜日に急に申請するなど、現場に大きな影響が出るタイミングでは、日程の調整を求められることはあります。早めに申請し、代わりの日の候補も伝えると、話がまとまりやすくなります。
整骨院では、予約を受けている患者さんへの配慮から、休みを言い出しにくいと感じる人が多いです。ただ、担当患者さんの引き継ぎ方を院内で決めておけば、一人が休んでも診療は回ります。休みを取れない原因が個人ではなく、院の人員配置や仕組みにあることも少なくありません。
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有給が取れないときの対処法と職場の見極め方
有給が取れないときは、残日数の確認、書面での申請、記録の保存の順に進め、改善しなければ外部への相談や転職を検討するのが現実的です。感情的に対立する前に、事実を積み重ねることが大切です。
今の職場でできる対処の手順
- 入職日と出勤状況から、自分の付与日数と残日数を確認する
- 就業規則や労働条件通知書で、有給の扱いを確認する
- 口頭だけでなく、メールや書面で日付を指定して申請する
- 断られた場合は、日時・相手・理由をメモに残す
- 改善しない場合は、労働基準監督署などの外部窓口に相談する
厚生労働省の令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況によると、全国の総合労働相談の件数は120万1,881件にのぼります。職場の悩みを外部に相談することは、特別なことではありません。
相談先としては、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーや、労働基準監督署があります。相談は無料で、匿名でも話を聞いてもらえます。院に知られずに、今の状況が法律上どう扱われるかを確認できるので、迷ったら一度問い合わせてみるとよいでしょう。
有給が取りやすい整骨院の見分け方
転職を考えるなら、求人票の「有給休暇あり」だけで判断せず、実際の取得状況を確認しましょう。見学や面接では、次の点を聞いてみると実態が見えてきます。
- スタッフの昨年の有給取得日数は平均で何日か
- 有給は誰に、何日前までに申請するのか
- 連休を取っているスタッフはいるか
- 急な休みが出たとき、誰がカバーしているか
スタッフの人数に余裕がない院では、どうしても休みが取りにくくなります。具体的な数字で答えてくれる院ほど、休みを管理できている傾向があります。シフト表を見せてもらえる場合は、休みの日に偏りがないか、特定のスタッフだけが土曜に入り続けていないかも確認しておくと安心です。退職を決めた場合の有給の使い方は、退職時の有給消化の進め方で詳しく解説しています。
よくある質問
整骨院で有給を使いたいと言ったら断られました。違法ですか?
理由なく有給の取得を拒むことは、労働基準法上問題があります。院に認められているのは、事業の正常な運営を妨げる場合に別の日へずらしてもらう時季変更権だけです。断られた日時と理由を記録し、改善しなければ労働基準監督署などに相談しましょう。
整骨院のパートやアルバイトでも有給はもらえますか?
もらえます。週の所定労働日数や時間に応じて、正社員より少ない日数の有給が付与されます。6か月継続して働き、出勤率が8割以上という条件は同じです。求人票や雇用契約書に記載がない場合も、条件を満たせば有給は発生します。
有給を使うと評価や給料が下がることはありますか?
有給を取ったことを理由に、賃金を減らすなど不利益な扱いをしないよう労働基準法で定められています。有給の日は通常の賃金が支払われます。実際に不利益な扱いを受けた場合は、内容を記録して外部の窓口に相談することをおすすめします。
入職して半年たっていない場合、有給はありますか?
法律上の有給は、入職から6か月継続して働き、出勤率8割以上を満たしたときに10日付与されます。それより前は法律上の付与義務はありませんが、院によっては入職時から付与している場合もあるので就業規則を確認しましょう。
有給が取れないことを理由に転職してもいいですか?
問題ありません。休みが取れない状態が続くと、体調や家族との時間に影響します。面接では「長く働き続けるために、休みを計画的に取れる環境を重視したい」のように、今後の働き方を軸に伝えると前向きに受け止められます。
まとめ
整骨院でも、条件を満たした柔道整復師には有給休暇が必ず発生します。2019年からは年5日の取得が院の義務になり、「忙しいから」という理由で取得を拒むことはできません。
- 勤続6か月・出勤率8割以上で10日、6年6か月以上で年20日
- 年10日以上付与される人には年5日の取得義務がある
- 院ができるのは日程をずらしてもらう時季変更権だけ
- 申請は書面で行い、断られたら記録を残す
休みを取りやすいかどうかは、職場選びの大切な基準です。今の環境で改善が難しいなら、実際の取得状況を確認しながら次の職場を探していきましょう。
有給休暇は、働く人に法律で認められた権利です。取れない状態が当たり前になっているなら、まずは自分の付与日数を確認し、記録を残すところから始めてみてください。それでも改善しないなら、休みを大切にする職場へ移ることも前向きな選択です。
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