「最近、駅前に新しい鍼灸院がまたできた」「求人は多いけれど、どこを選べばいいのかわからない」。鍼灸院が増えるなかで、職場選びに迷う鍼灸師は少なくありません。
結論から言うと、はり・きゅうの施術所はこの10年で約1.4倍に増えており、鍼灸師にとって職場の選択肢は広がっています。その一方で、院ごとの差も大きくなっています。この記事では、厚生労働省の統計で現状を確認し、今だからこそ見たい職場選びの基準を解説します。
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はり・きゅうの施術所は10年で約1.4倍に増えた
はり・きゅうを行う施術所は、2024年末に35,494か所となり、10年前の25,445か所から約1.4倍に増えました。2022年末と比べても1,604か所(4.7%)増えています。
施術所とは、はり師やきゅう師などが施術を行うために保健所へ届け出た場所のことです。鍼灸院や、鍼灸と組み合わせた治療院がこれにあたります。
仕事帰りに見慣れない鍼灸院の看板を見つけ、「ここも最近できたのか」と思う。そんな実感は、統計の数字にもはっきり表れています。
厚生労働省の統計で見る推移
| 項目 | 2014年末 | 2024年末 |
|---|---|---|
| はり及びきゅうを行う施術所 | 25,445か所 | 35,494か所 |
| あん摩、マッサージ及び指圧、はり並びにきゅうを行う施術所 | 37,682か所 | 38,595か所 |
| 就業はり師 | 108,537人 | 136,736人 |
数字は、厚生労働省の令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)と、同報告の年次推移によるものです。マッサージも行う施術所は横ばいなのに対し、鍼灸を専門とする施術所が大きく増えています。
働く鍼灸師も増えている
同じ統計によると、2024年末に施術所などで働くはり師は136,736人、きゅう師は134,730人でした。2年前と比べて、どちらも約4%増えています。
働く人が増えているということは、採用の場面でも、患者さんに選ばれる場面でも、競争が起きやすくなっているということです。職場を選ぶ側としては、院の将来性まで見ておくことが大切になります。
この数字には、病院や介護施設などで働く鍼灸師は含まれていません。統計は施術所で働く人と出張専門の人を数えたものなので、資格を活かして働く人は実際にはもっと多いと考えられます。
施術所が増えたことで変わったこと
鍼灸院が増えたことで、鍼灸師にとっては求人の選択肢が増えた一方、院ごとの経営力や働きやすさの差が大きくなりました。開業して間もない院も多く、条件だけで選ぶと後悔することがあります。
新しい院は設備がきれいで、若いスタッフが多く活気があるなど、魅力もたくさんあります。ただ、患者さんを集める仕組みがまだ整っていない院では、売上が不安定になり、給料や勤務時間にしわ寄せが来ることもあります。
鍼灸師にとってのメリット
- 求人の数が増え、勤務地や働き方を選びやすくなった
- 美容鍼・スポーツ・不妊など、専門分野に特化した院が増えた
- 新しい院の立ち上げに関われる機会がある
気をつけたい点
- 集患がうまくいかず、歩合給が下がりやすい院がある
- 少人数で回すため、休みが取りにくい院がある
- 教育の仕組みがなく、若手が育ちにくい院がある
歩合の比率が高い院では、患者数が給料に直結します。完全歩合制の注意点は、鍼灸院の完全歩合制の記事でくわしく解説しています。
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鍼灸院が増えた今だからこそ見たい職場選びの基準
鍼灸院が増えた今、職場選びでは「給料の額」だけでなく、「患者さんが集まる仕組みがあるか」「自分が成長できるか」「長く働ける条件か」の3つを基準にするのがおすすめです。
求人票には良いことが多く書かれています。けれども、本当に知りたいのは、働き始めてから毎日どんな時間を過ごすかです。基準を決めてから比べると、迷いにくくなります。
比べるときの3つの基準
| 基準 | 確認したいこと |
|---|---|
| 集患の仕組み | 新規患者はどこから来ているか。紹介・口コミ・広告のバランス |
| 成長できる環境 | 研修や症例検討の有無。先輩に施術を見てもらえるか |
| 長く働ける条件 | 固定給と歩合の割合、社会保険、休日、有給の取りやすさ |
3つの基準のうち、どれを重視するかは人によって違います。経験が浅いうちは成長できる環境を、家族を支える立場なら長く働ける条件を優先するなど、自分の今の状況に合わせて順番をつけてみましょう。
広告の出し方も院の姿勢を表す
鍼灸院の広告には、法律で決められたルールがあります。効果を大げさにうたう広告や、ルールを守らない宣伝をしている院は、運営の姿勢にも不安が残ります。
ホームページやSNSで院の発信をチェックしておくと、院の考え方が見えてきます。広告のルールは、鍼灸院の広告ルールの記事で確認できます。
見学・面接で確かめたいポイント
職場選びで失敗しないためには、見学や面接で、院の実際の様子と将来の方針を自分の目と耳で確かめることが大切です。特に、開業して間もない院では、院長の考え方が働きやすさを大きく左右します。
聞きにくい質問もありますが、言い方を工夫すれば失礼にはなりません。「長く働きたいので確認させてください」と前置きすると、前向きな姿勢が伝わります。
見学・面接での確認手順
- 見学では、受付の雰囲気や予約の埋まり方を見る
- スタッフの人数と、平均的な勤続年数を聞く
- 1日に担当する患者数と、施術時間の目安を聞く
- 給与のうち固定給と歩合の割合、最低保証を確認する
- 院長に、今後の院の方針や分院の予定を聞く
見学のときは、施術の合間のスタッフ同士の会話にも耳を傾けてみてください。忙しいなかでも声をかけ合っている院は、困ったときに助け合える職場であることが多いものです。反対に、院長の顔色ばかりうかがう空気がある院は、働き始めてから息苦しさを感じやすくなります。
辞めたほうがいい院のサインも知っておく
今の職場に不安がある場合は、辞めたほうがいい院のサインを知っておくと判断しやすくなります。スタッフの入れ替わりが激しい、給料の支払いが遅れる、といった状態は要注意です。
具体的なサインは、鍼灸院を辞めるべきサインの記事にまとめています。焦って次を決めず、比べる基準を持って選びましょう。
よくある質問(FAQ)
鍼灸院が増えているのに、鍼灸師の仕事はなくならないですか?
すぐになくなるとは言えません。施術所は増えており、働くはり師も2024年末に136,736人と増えています。ただし院ごとの差は大きくなっているため、集患の仕組みがある職場を選ぶことが大切です。
開業したばかりの鍼灸院で働くのはやめたほうがいいですか?
一概にやめたほうがいいとは言えません。立ち上げに関われる経験は貴重です。ただし、患者数が安定するまで給料や休みにしわ寄せが来ることもあるため、固定給の有無や最低保証を必ず確認しましょう。
鍼灸院の求人で、給料以外に何を比べればいいですか?
集患の仕組み、教育の体制、長く働ける条件の3つを比べるのがおすすめです。新規患者がどこから来ているか、研修があるか、社会保険や有給が整っているかを確認しましょう。
見学で鍼灸院の経営状態を見分ける方法はありますか?
予約の埋まり方や受付の雰囲気、スタッフの勤続年数が手がかりになります。院長に今後の方針を聞き、具体的に答えてくれるかどうかも判断材料になります。
美容鍼や不妊鍼など専門分野の院に転職するのはありですか?
自分が深めたい分野であれば、良い選択肢になります。専門分野の院は増えていますが、施術できる症例が限られることもあります。将来どんな鍼灸師になりたいかを考えてから選びましょう。
まとめ|鍼灸院が増えた今こそ基準を持って選ぶ
厚生労働省の統計では、はり・きゅうを行う施術所は2024年末に35,494か所と、10年前の約1.4倍に増えました。働くはり師も136,736人と増えています。
- 求人の選択肢は広がったが、院ごとの差も大きくなった
- 集患の仕組み・成長できる環境・長く働ける条件で比べる
- 広告の出し方や院長の方針も、院の姿勢を表す
- 見学・面接で、実際の様子を自分の目で確かめる
選択肢が多い今だからこそ、自分に合う鍼灸院をじっくり選ぶことが、長く働き続けるための近道です。
たくさんの鍼灸院の中から自分に合う職場を探すのは大変です。迷ったときは、一緒に整理してみませんか。
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