国家試験が終わってほっとしたのもつかの間、「最初の職場をどこにするか」で迷っている新卒の鍼灸師の方は多いのではないでしょうか。同級生が次々と内定を決めていくなか、求人票を見比べても違いがよくわからないという声もよく聞きます。
新卒の鍼灸師の就職先選びとは、資格を取ったあと最初の数年で、どんな臨床経験を積み、どんな働き方の土台を作るかを決めることです。最初の職場で身につけた経験は、その後の転職や独立の選択肢を大きく左右します。
この記事では、新卒の鍼灸師が選べる主な就職先の違い、最初の職場選びで大切にしたい基準、見学や面接で確認したいポイントを、公的なデータとあわせて解説します。
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新卒の鍼灸師が選べる主な就職先と違い
新卒の鍼灸師の主な就職先は、鍼灸院、鍼灸整骨院、病院・クリニック、介護施設、美容鍼サロンなどです。どこを選ぶかで、身につく技術も、給与の仕組みも、働く時間帯も大きく変わります。
厚生労働省の発表によると、第34回はり師国家試験(2026年)の合格者は2,634人、合格率は67.2%でした。毎年2,000人を超える新しいはり師が生まれるなかで、最初の職場の選び方は、その後のキャリアの差になりやすいといえます。
| 就職先 | 主な仕事 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 鍼灸院 | 鍼灸を中心にした施術・自費メニュー | 鍼灸の技術を深めたい人 |
| 鍼灸整骨院 | 鍼灸と手技・物理療法の組み合わせ | 幅広い症状に触れたい人 |
| 病院・クリニック | 医師の指示のもとでの施術・リハビリ補助 | 医療連携を学びたい人 |
| 介護施設 | 機能訓練や高齢者の体のケア | 高齢者と長く関わりたい人 |
| 美容鍼サロン | 美容目的の自費施術と接客 | 接客と発信が得意な人 |
鍼灸院と鍼灸整骨院の違い
鍼灸院は、鍼灸の施術そのものに集中できる一方、院によっては新卒の採用枠が少ないことがあります。鍼灸整骨院は、柔道整復師と一緒に働き、手技や受付業務も担当するのが一般的です。
よくあるケースとして、鍼灸を学びたくて鍼灸整骨院に入ったのに、実際は電気治療の準備と受付が中心で、鍼を打つ機会が少なかったという相談があります。求人票の「鍼灸師募集」だけでは、鍼を打てる量まではわかりません。
病院・介護施設という選択肢
病院やクリニックでは、医師や理学療法士と連携しながら働く経験が積めます。介護施設では、機能訓練指導員として働く道もあります。はり師・きゅう師が機能訓練指導員になるには、一定の実務経験が条件とされているため、求人の応募要件をよく確認しましょう。
美容鍼サロンは、自費の美容施術と接客が中心で、夕方以降や土日の勤務が多くなりやすい職場です。華やかに見える一方で、指名や売上の目標がある場合もあるため、給与の仕組みをよく確認してから選びましょう。
新卒の鍼灸師が最初の職場選びで大切にしたい基準
新卒の鍼灸師が最初の職場を選ぶときは、給与の高さよりも「教育体制」と「鍼を打てる量」を優先するのがおすすめです。最初の数年で積んだ臨床経験が、その後の年収や選択肢を広げる土台になるからです。
厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、はり及びきゅうを行う施術所は35,494か所で、前回より4.7%増えました。施術所が増えるほど、技術で選ばれる鍼灸師になることの大切さは増していきます。
教育体制を見分けるポイント
- 入職後の研修の期間と内容が、具体的に決まっているか
- 先輩の施術を見学したり、練習台になってもらえる時間があるか
- 何か月目で患者さんを担当するかの目安があるか
- 外部のセミナー費用の補助があるか
「やる気があれば教える」とだけ説明される職場は、教育が個人まかせになっている可能性があります。
給与だけで選ばない方がよい理由
新卒向けの求人で給与が高く見える場合、歩合の割合が大きい、残業代が固定で含まれているなど、条件付きであることも少なくありません。目先の数万円より、3年後にどんな施術ができるようになっているかを想像して選びましょう。
求人票の見分け方はこんな求人はやめとけ!【鍼灸師編】ブラック求人票とヤバい院の見分け方でも解説しています。
もう一つの基準は、通勤時間と生活リズムです。1年目は覚えることが多く、帰宅後に練習や勉強をする時間も必要になります。通勤に片道1時間以上かかる職場だと、学ぶ時間を確保しにくくなることも考えておきましょう。
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就職先を決める前に、見学と面接で確認したいこと
就職先を決める前には、必ず見学をして、実際に鍼灸師がどのくらい鍼を打っているか、先輩がどんな表情で働いているかを自分の目で確かめましょう。求人票では見えない職場の空気が、見学で一番よくわかります。
見学の日は、受付の電話対応や、施術の合間のスタッフ同士の声かけにも注目してみてください。忙しい時間帯にもやさしい言葉が飛び交っている職場は、新人を育てる余裕がある職場です。
見学・面接で聞いておきたい質問
- 新卒の鍼灸師が1日に鍼を打つ患者さんの人数の目安
- 入職1年目のスケジュールと研修の内容
- 過去3年で入職した新卒が、今も何人働いているか
- 残業の実態と、残業代の支払い方
- 社会保険・雇用保険の加入
特に3つ目の質問は、職場の定着率を知る手がかりになります。答えに詰まるようなら、新人が定着していない可能性があります。
最初の職場で迷ったら「3年後の自分」から考える
「3年後に、どんな鍼灸師になっていたいか」を先に決めると、選ぶべき職場が見えやすくなります。独立したいなら経営の流れが見える鍼灸院、医療の現場で働きたいなら病院、という具合です。
鍼灸師の働き方の全体像は鍼灸師が働く場所とは?資格を活かせる3つの働き方で整理しています。最初の職場が合わなかったときの動き方は、鍼灸師の転職タイミングはいつ?も参考にしてください。
複数の職場を見学したら、帰り道にその日の印象をメモしておくのがおすすめです。「教育」「施術の量」「雰囲気」「条件」の4つに分けて点数をつけておくと、あとで比べるときに感情に流されずに判断できます。
家族や学校の先生、先輩に相談するのもよい方法です。自分では気づかなかった職場の良い点や気になる点を教えてもらえることがあります。
よくある質問(FAQ)
新卒の鍼灸師は鍼灸院と鍼灸整骨院のどちらがいいですか?
鍼灸の技術を深めたいなら鍼灸院、幅広い症状や手技に触れたいなら鍼灸整骨院が向いています。ただし、鍼灸整骨院では鍼を打つ機会が少ない院もあるため、見学で鍼灸師が1日に何人に施術しているかを確認しましょう。
国家試験の合格発表前に就職先を決めても大丈夫ですか?
合格を前提にした内定は一般的で、問題ありません。ただし、不合格だった場合の扱いは職場によって違います。「合格するまで助手として働けるか」「内定は取り消しになるか」を事前に確認しておくと安心です。
新卒の鍼灸師の給料はどのくらいが目安ですか?
職場の種類や地域によって大きく違うため、一律の目安はありません。大切なのは、固定給と歩合の割合、残業代の扱い、昇給の仕組みを確認することです。同じ月給でも、内訳によって実際の手取りは変わります。
最初の職場が合わなかったら、すぐ転職してもいいですか?
体調を崩すほどつらい場合や、法律違反がある場合は、早めの転職を考えてよいです。そうでなければ、まずは辞めたい理由を書き出し、職場を変えないと解決しない悩みかどうかを整理してから判断すると、次の職場選びで後悔しにくくなります。
新卒で鍼灸院に就職するとき、きゅう師の免許も必要ですか?
多くの鍼灸院では、はり師ときゅう師の両方の免許を持っていることを応募条件にしています。片方の免許だけの場合は、応募できる求人が限られることがあるため、求人票の資格欄を必ず確認しましょう。
まとめ
新卒の鍼灸師の就職先選びは、最初の数年の臨床経験を決める大切な選択です。給与の数字だけでなく、育ててもらえる環境かどうかを見極めましょう。
- 鍼灸院・鍼灸整骨院・病院・介護・美容鍼サロンで働き方は大きく違う
- 第34回はり師国家試験(2026年)の合格者は2,634人
- 最初の職場は「教育体制」と「鍼を打てる量」を優先する
- 見学で新卒の定着や1日の施術人数を確認する
「3年後の自分」を思い描きながら、納得できる最初の一歩を選んでください。
「就職先が決めきれない」「この職場で本当にいいのか不安」という方も大丈夫です。
治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。まずは相談だけでも大丈夫です。話しながら気持ちを整理するところから、一緒に始めましょう。



