「整骨院を辞めるとき、退職金ってもらえるのかな」。勤続年数が長くなるほど、ふと気になるのが退職金のことです。求人票の福利厚生欄を見ても、退職金について何も書かれていない整骨院は珍しくありません。
退職金とは、会社が就業規則などで定めたルールに基づき、退職する従業員に支払うお金のことです。法律で支払いが義務づけられているものではないため、整骨院によって「ある」「ない」がはっきり分かれます。
この記事では、整骨院の退職金の実情、小さな院でも使える退職金の制度、入職前や転職時に確認したいポイントを、厚生労働省の調査データとあわせて解説します。
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整骨院に退職金がないのは違法?退職金制度の基本
整骨院に退職金がないこと自体は、違法ではありません。退職金は法律上の義務ではなく、就業規則や雇用契約で定めた場合にだけ、支払う義務が生まれる仕組みだからです。
反対に、就業規則に退職金の規定がある場合は、その条件を満たした人に支払わなければなりません。労働基準法第89条でも、退職手当の定めをする場合は、対象者や計算方法などを就業規則に書くことが求められています。
退職金制度がある企業は全体の74.9%
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は74.9%でした。制度がある企業のうち、「退職一時金制度のみ」の企業が69.0%を占めています。
ただし、この調査の対象は常用労働者30人以上の企業です。スタッフが数人の整骨院の多くは調査の対象外で、実際には退職金制度がない院も多いと考えられます。数字は一般企業との比較の目安として見ておきましょう。
退職金がない整骨院が多い理由
- 個人経営や小規模の院が多く、制度を作る余力がない
- スタッフの入れ替わりが前提の雇い方になっている
- 給与や歩合で還元しているという考え方の院もある
よくあるケースとして、10年近く勤めた整骨院を辞めるときに初めて「うちは退職金はない」と知り、将来の計画を立て直すことになったという相談があります。入職するときに確認しておけば防げた後悔です。
退職金のことは、在職中には聞きにくい話題です。しかし、長く働くほど金額の差は大きくなります。「辞めるつもりがあると思われたくない」と遠慮せず、制度として確認しておくことは、働く人として当然の権利です。
小さな整骨院でも使える退職金の制度
小さな整骨院でも、国の「中小企業退職金共済(中退共)」などを使えば、退職金を用意できます。院が毎月掛金を払い、スタッフが辞めるときに共済から直接退職金が支払われる仕組みです。
中退共は、独力で退職金制度を持つことが難しい中小企業のために国が作った制度です。院が倒産したり、院長と関係が悪くなったりしても、退職金は共済からスタッフ本人に支払われるため、働く側にとって安心感があります。
求人票の「退職金あり」の中身を確かめる
求人票に「退職金あり」と書かれていても、中身は院によって違います。次の点を確認しましょう。
- 院独自の制度か、中退共などの共済か
- 何年勤めたら支給の対象になるか(勤続3年以上など)
- 自己都合で辞めた場合に減額されるか
- 就業規則や退職金規程に書面で定められているか
口約束だけの「退職金は出すよ」は、トラブルのもとになりやすいので注意が必要です。
退職金がない分を給与や昇給で補えているか
退職金がない整骨院でも、そのぶん基本給や昇給が手厚ければ、生涯で受け取るお金は大きく変わらないこともあります。月々の給与と昇給のペース、賞与の有無をあわせて比べることが大切です。
柔道整復師の生涯の収入の考え方は、柔道整復師の生涯年収シミュレーションでも詳しく比較しています。
| 比べる点 | 院独自の退職金制度 | 中退共などの共済 |
|---|---|---|
| お金の出どころ | 院の資金から支払う | 共済から本人に直接支払う |
| 院の経営が悪化したとき | 支払いが滞るおそれがある | 積み立て分は守られやすい |
| 確認する書類 | 就業規則・退職金規程 | 加入の有無と掛金の額 |
面接で「退職金は中退共に加入していますか」と聞くだけで、制度がどこまで整っているかがわかります。具体的に答えられる院は、ほかの労務管理もきちんとしていることが多いです。
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退職金を受け取るために、辞める前と入職前に確認すること
退職金を確実に受け取るには、辞める前に就業規則と退職金規程で「支給条件」と「計算方法」を確認し、入職前には制度の有無を書面で確かめておくことが大切です。
就業規則は、スタッフがいつでも見られるようにしておくことが法律で求められています。スタッフルームの棚にファイルが置かれていることも多いので、一度目を通しておきましょう。
辞める前に確認したいこと
- 退職金の支給条件(勤続年数・退職理由)
- 支払われる時期と方法
- 退職日によって勤続年数が1年に届くかどうか
勤続年数が支給の条件に関わる場合、退職日を少しずらすだけで受け取れる額が変わることもあります。退職の進め方は柔道整復師の退職マニュアルも参考にしてください。
退職金が支払われないときの対処法
就業規則に規定があるのに退職金が支払われない場合は、まず書面で請求し、それでも払われなければ労働基準監督署などに相談しましょう。退職金を請求できる権利には、退職から5年という時効があります。
転職先を選ぶときは、退職金の有無だけでなく、社会保険や年間休日など、長く働くための条件をセットで見ることが大切です。将来の安心は、毎月の給与明細だけでは見えにくいものです。
転職を考えている場合は、今の職場の退職金の条件と、次の職場の制度を並べて比べてみてください。今辞めると受け取れない退職金が、あと数か月勤めれば受け取れることもあります。辞める時期を決めるときの判断材料の一つにしましょう。
また、退職金を受け取るときは、退職所得として税金が優遇される仕組みがあります。「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておくと、確定申告をしなくても税金の精算が済むことが多いので、退職時に書類の案内がないか確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
整骨院を3年で辞めたら退職金はもらえますか?
整骨院の退職金規程によります。勤続3年以上を支給の条件にしている院もあれば、そもそも退職金制度がない院もあります。まず就業規則や退職金規程を確認し、支給条件と計算方法を把握しておきましょう。
整骨院の求人で「退職金あり」と書かれていれば安心ですか?
それだけでは安心とは言えません。院独自の制度か中退共などの共済か、何年勤めたら対象になるか、自己都合で減額されるかによって、受け取れる額は大きく変わります。面接で中身を確認し、書面でも確かめておくと安心です。
退職金がない整骨院は避けた方がいいですか?
一概には言えません。退職金がなくても、基本給や昇給、賞与が手厚ければ、長い目で見た収入は大きく変わらないこともあります。退職金の有無だけで判断せず、給与・休日・社会保険をあわせて比べましょう。
院長に「退職金を出す」と口頭で言われていたのに、もらえませんでした。
口約束でも約束として主張できる場合はありますが、証明が難しいのが実情です。メールやメッセージなど、約束の記録が残っていれば保管しておきましょう。総合労働相談コーナーなど外部の窓口に相談すると、進め方を一緒に考えてもらえます。
退職金はいつ振り込まれますか?
振り込みの時期は、就業規則や退職金規程で定められています。退職後1か月から2か月以内としている会社が多いものの、院によって違います。中退共の場合は、本人が請求の手続きをしてから共済から支払われるため、必要書類を早めに確認しておきましょう。
まとめ
整骨院に退職金がないこと自体は違法ではありませんが、就業規則に規定があれば支払う義務があります。将来のために、入職前と辞める前の確認が欠かせません。
- 退職給付制度がある企業は74.9%(令和5年就労条件総合調査)
- 小規模な院でも中退共などで退職金を用意できる
- 「退職金あり」は支給条件と計算方法まで確認する
- 退職金の請求には退職から5年の時効がある
柔道整復師として長く働くために、退職金を含めた「将来の安心」も職場選びの基準に加えましょう。
「今の職場の条件で、将来やっていけるか不安」という方も、まずは気軽にご相談ください。
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