「施術が痛かったと30分怒鳴られた」「予約時間外に来て、すぐ診ろと受付で大声を出された」「回数券を返金しろとしつこく電話が来る」。整骨院で働く柔道整復師は、患者さんからの理不尽な言動にさらされることがあります。
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2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)の防止措置が事業主の義務になりました。この記事では、整骨院で起きやすいカスハラの実態、新しく始まった制度の中身、院に求められる対応と、自分を守るための方法を解説します。
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2026年10月からカスハラ対策が事業主の義務に
2026年10月1日から、改正された労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメントを防ぐための雇用管理上の措置が事業主の義務になりました。整骨院も、スタッフを患者さんからのカスハラから守る対策をとる必要があります。
カスタマーハラスメントとは、顧客や施設の利用者などの言動のうち、社会通念上許容される範囲を超えたものによって、働く人の就業環境が害されることです。整骨院では、患者さんやその家族からの暴言や過度な要求がこれにあたります。
法改正の内容
厚生労働省の法律の概要によると、2025年6月11日に公布された改正法(令和7年法律第63号)で、カスハラを防止するために事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すことになりました。滋賀県の案内でも、施行日は2026年10月1日とされています。
同じ概要では、カスハラに関する国、事業主、労働者、顧客等のそれぞれの責務も明確にするとされています。患者さんの側にも、働く人への言動に注意する努力が求められる形です。
整骨院で求められる主な対策
厚生労働省の資料では、事業主が取り組む対策の柱として、方針を決めて周知すること、相談できる体制を整えること、起きたときに迅速に対応することなどが示されています。整骨院に当てはめると、次のような取り組みになります。
- 「スタッフへの暴言や威圧的な言動には対応しない」という院の方針を決め、院内に掲示する
- スタッフが困ったときに相談できる担当者を決める
- トラブルが起きたら、院長が前に出て対応する
- 悪質なケースでは、施術を断ることも含めた対応を決めておく
施術への意見とカスハラの違い
患者さんが施術の感想や不満を伝えること自体は、カスハラではありません。「前回より痛みが強かった」「説明が分かりにくかった」といった声は、施術をよくするための大切な情報です。
問題になるのは、要求の内容が不当だったり、伝え方が暴言や威圧、長時間の拘束になっていたりする場合です。内容と伝え方の両方を見て、社会通念を超えているかどうかを考えると判断しやすくなります。
整骨院で起きやすいカスハラの実態
整骨院のカスハラは、施術への不満からの暴言、予約や順番をめぐる威圧、回数券や料金をめぐる過度な要求、施術中の体への不適切な言動などの形で起こりやすい傾向があります。体に触れる仕事で、患者さんとの距離が近いことも背景にあります。
閉院間際に駆け込んできた患者さんに「なんで今から診られないんだ」と受付で大声を出され、奥で施術中のスタッフまで手が止まる。そんな場面を経験した柔道整復師も多いのではないでしょうか。
よくあるカスハラの例
| 場面 | カスハラにあたりうる言動の例 |
|---|---|
| 施術後 | 「痛くなった、どうしてくれる」と長時間責め続ける |
| 受付 | 順番や予約外の対応を求めて大声を出す |
| 料金 | 回数券の全額返金や値引きを執拗に迫る |
| 電話・SNS | 何度も電話をかける、悪い口コミを書くと脅す |
| 施術中 | 性的な冗談を言う、スタッフの体に触れようとする |
「お客様だから我慢して」が通用しなくなる
これまで整骨院では、患者さんを失いたくないという理由で、スタッフに我慢を求める院もありました。制度が変わった今、院がスタッフを守る対策をとらないことは、義務を果たしていないことになります。
院長からのパワハラと重なっている場合は、整骨院のパワハラの相談先と記録の残し方も参考にしてください。
受付スタッフや若手が標的になりやすい
カスハラは、立場の弱いスタッフに向かいやすい傾向があります。整骨院では、受付スタッフや入社したばかりの若手が、怒っている患者さんの最初の対応を任されることがよくあります。
一人で謝り続けるうちに、出勤前に気分が悪くなる、患者さんの名前を見るだけで緊張するといった状態になる人もいます。そうなる前に、院として誰が対応するのかを決めておくことが大切です。
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カスハラから自分を守るための対処法
カスハラを受けたら、一人で対応を抱え込まず、記録を残して院長や相談担当に報告することが基本です。院が対応してくれない場合は、労働局の総合労働相談コーナーなど外部の窓口にも相談できます。
「自分の施術が悪かったのかも」と責任を感じすぎる必要はありません。施術への意見と、社会通念を超えた言動は分けて考えましょう。
カスハラを受けたときの対応の手順
- その場では一人で対応せず、院長や他のスタッフを呼ぶ
- 日時、患者さんの言動、周りにいた人をメモに残す
- 電話やメッセージの内容は保存しておく
- 院長や相談担当に報告し、今後の対応を決めてもらう
- 院が動かない場合は、労働局の総合労働相談コーナーに相談する
院の対応が不十分なときに考えたいこと
カスハラが続いているのに院が何もしてくれない場合、その職場はスタッフを守る仕組みがないと考えられます。心身の不調が出る前に、働く環境を見直すことも大切です。
患者さん対応のストレスとの付き合い方は、理不尽なクレームやドタキャンに疲弊したときの考え方でも紹介しています。
職場選びで確認したいポイント
転職先を選ぶときは、見学や面接で「患者さんとのトラブルが起きたとき、どなたが対応されていますか」と聞いてみましょう。院長が前に出て対応する院かどうかで、働きやすさは大きく変わります。
よくある質問
整骨院で患者さんに怒鳴られるのはカスハラですか?
言動の内容や程度によりますが、施術への不満を伝える範囲を超えて、長時間怒鳴り続けたり人格を否定したりするのは、カスハラにあたる可能性があります。社会通念上許容される範囲を超えているかどうかが判断の目安です。記録を残して院に報告しましょう。
院長がカスハラ対策をしてくれない場合はどうすればいいですか?
2026年10月1日からカスハラ対策は事業主の義務になっています。まずは院長に、方針の明確化や相談担当の設置をお願いしてみましょう。それでも動かない場合は、労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。
患者さんからの性的な発言や接触はどう扱われますか?
患者さんからの性的な言動は、セクシュアルハラスメントとして、事業主が対策をとるべき対象に含まれます。我慢せず、すぐに院長や他のスタッフに伝え、担当を変えてもらうなどの対応を求めましょう。日時と内容の記録も残しておくと安心です。
カスハラを理由に整骨院を辞めてもいいですか?
はい、辞めることを考えて構いません。カスハラが続き、院が対策をとってくれない環境では、心身の健康を守ることが優先です。患者さんとのトラブルに院長が前に出て対応してくれる職場は、見学や面接で確かめることができます。
カスハラの記録はどのように残せばいいですか?
日時、場所、患者さんの言動、そのとき近くにいたスタッフを、できるだけその日のうちにメモに残しましょう。電話や留守番電話、メッセージ、口コミなどは画面を保存しておくと証拠になります。記録があると、院や外部の窓口に相談するときに状況を正確に伝えられます。
まとめ
2026年10月1日から、カスタマーハラスメントの防止措置が事業主の義務になりました。整骨院も、患者さんからの理不尽な言動からスタッフを守る対策をとる必要があります。
- 改正法は2025年6月11日に公布され、2026年10月1日に施行された
- 整骨院では暴言、威圧、過度な返金要求、性的な言動などが起こりやすい
- カスハラを受けたら一人で抱えず、記録を残して報告する
- 院が動かない場合は、労働局などの外部窓口に相談できる
患者さんのために働くあなた自身も、守られるべき存在です。
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