「受付も施術も会計も、全部一人。トイレに行くタイミングさえない」。整骨院でワンオペ勤務を続けている柔道整復師から、こうした声はよく聞かれます。
整骨院のワンオペ勤務は、それだけで違法とは限りません。ただし、休憩が取れない、急病やけがに対応できないといった状態は見過ごせない問題です。この記事では、一人体制が生まれる理由、確認したい法律のルール、働き続けるか転職するかの判断基準を解説します。
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整骨院のワンオペ勤務とは?一人院が多い理由
整骨院のワンオペ勤務とは、受付・施術・会計・電話対応などを、スタッフ一人ですべて担う働き方のことです。小規模な院が多い業界の構造から、一人体制は珍しくありません。
朝の開院準備から、受付で保険証を確認し、施術をして、会計とカルテ記入まで一人でこなす。患者さんが重なる夕方は、待合室の様子を気にしながら施術を続けることになります。
1院あたりの柔道整復師は平均1.5人ほど
厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例」によると、2024年末時点で就業している柔道整復師は78,666人、柔道整復の施術所は50,924か所です。単純に割ると、1施術所あたりの柔道整復師は約1.5人にとどまります。
この数字は、院長一人の院や、院長とスタッフの二人体制の院が多いことを示しています。分院展開するグループ院でも、平日昼の時間帯や分院では一人で任されるケースがあります。
人手不足でワンオペが常態化しやすい
スタッフが一人辞めると、補充が決まるまで残った人がワンオペで回すことになりがちです。採用が難しい地域では、その状態が数か月続くことも少なくありません。
はじめは「一時的に」と言われていても、いつの間にか一人体制が前提のシフトになっている。このパターンは、ワンオペ勤務の悩みでよくあるケースです。
ワンオペになりやすい院の特徴
ワンオペが起こりやすいのは、院長が複数院を掛け持ちしている院や、受付専任のスタッフを置いていない院です。院長が不在がちな分院では、新人でも一人で店舗を任されることがあります。
営業時間が長い院も注意が必要です。朝から夜まで開けている院では、スタッフの勤務時間をずらして配置するため、早番や遅番の時間帯が一人になりやすくなります。
一方で、ワンオペでも患者さんの数が少なく、予約制で休憩時間が確保されている院もあります。一人体制かどうかだけで良し悪しを決めず、実際の忙しさと休める時間を合わせて見ることが大切です。
ワンオペで休憩が取れないのは違法?確認したいルール
ワンオペでも、労働時間が6時間を超えれば45分、8時間を超えれば1時間の休憩を与えることが、労働基準法第34条で義務づけられています。一人体制を理由に休憩をなくすことは認められません。
休憩は「仕事から完全に離れられる時間」である必要があります。院内で待機し、患者さんが来たらすぐ対応する状態は、休憩ではなく手待ち時間として労働時間に含まれると考えられています。
「受付に座ったままの昼休み」は休憩にならない
昼休み中も電話が鳴れば出る、飛び込みの患者さんが来れば施術する。こうした働き方では、実際には休憩が取れていないことになります。
休憩を確保するには、休憩時間中は入口に案内札を出す、電話を留守番電話に切り替えるなど、院として仕組みを用意する必要があります。休憩のルールは整骨院で休憩が取れないときの記事でも詳しく解説しています。
安全面のリスクも確認しておく
ワンオペでは、施術中に患者さんの体調が急変したときや、自分がけがをしたときに、すぐ助けを呼べる人がいません。院としての緊急時の連絡手順が決まっているかは重要な確認点です。
夜の閉院作業を一人で行う院では、防犯面の不安を感じる人もいます。施錠や売上金の管理を一人に任せきりにしていないかも、職場の安全意識を見るポイントになります。
一人で働いていると、自分の体調が悪い日でも休みにくくなります。代わりの人がいないために休診にできず、無理をして出勤する状態が続くと、心身の不調につながりかねません。
受付締め後に一人で掃除とレジ締めを終え、気づけば帰りが21時を過ぎていた。こうした日が続くなら、労働時間の記録を自分でも残しておくことをおすすめします。
休憩が取れていないと感じたら、まずは1か月分、実際に休めた時間をメモしておきましょう。日付と時間が具体的に残っていれば、院長への相談でも、労働基準監督署への相談でも話が伝わりやすくなります。
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ワンオペの整骨院を続けるか転職するかの判断基準
ワンオペそのものより、「休憩が取れるか」「体制改善の予定があるか」「負担に見合う給与か」の3点で判断するのがおすすめです。どれも満たされないなら、転職を考えてよいタイミングです。
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」では、転職した女性が前職を辞めた理由として「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.8%で最も多くなっています。働く条件への不満は、転職の大きなきっかけです。
続けるか迷ったときのチェックリスト
- 6時間を超える日に、45分以上の休憩を実際に取れている
- 一人体制の日数や時間帯が、シフトで事前にわかる
- 急病やけがのときの連絡先と対応手順が決まっている
- 増員や体制見直しの予定を、院長が具体的に説明している
- 一人で院を回す負担が、手当や給与に反映されている
求人と見学でワンオペの院を見分ける方法
求人票に「少人数でアットホーム」「一人で任せられる」と書かれている院は、ワンオペの可能性があります。面接では「平日昼と土曜は何人体制ですか」と具体的に聞いてみましょう。
見学では、受付専任のスタッフがいるか、施術ベッドの数とスタッフの人数が釣り合っているかを確認します。見学で確認したい項目は見学時にブラック治療院を見抜く方法の記事も参考になります。
ワンオペの経験は、裏を返せば受付から施術、会計まで一通りこなせる力がついた証拠でもあります。転職の面接では「一人で院を回した経験」を、責任感や段取り力のアピールとして伝えることができます。
転職を考える場合は、在職中に情報収集を始めるのが安心です。辞めてから探すと収入が途切れ、焦って同じような一人体制の院を選んでしまうおそれがあります。
よくある質問(FAQ)
整骨院のワンオペ勤務は違法ですか?
一人体制で働くこと自体は違法ではありません。ただし、6時間を超えて働く日に休憩を与えないなど、労働基準法第34条の休憩のルールを守れていない場合は問題になります。
ワンオペで昼休みも患者さんが来たら対応しています。休憩扱いになりますか?
患者さんや電話が来たらすぐ対応する状態は、休憩ではなく労働時間と考えられています。休憩として扱うなら、仕事から完全に離れられる時間を確保する必要があります。
新卒でいきなりワンオペを任されることはありますか?
小規模な院や分院では、入社から短期間で一人体制を任されるケースがあります。教育期間や一人で任される時期の目安を、面接で必ず確認しておくと安心です。
ワンオペがつらいことを院長にどう伝えればいいですか?
「休憩が取れていない日が月に何日ある」など、事実と数字で伝えるのが効果的です。感情ではなく記録をもとに話すと、体制の見直しを相談しやすくなります。
ワンオペの院から転職するとき、面接で何を聞けばいいですか?
「平日昼と土曜は何人体制か」「休憩は何分取れているか」「急病時はどうするか」の3つを具体的に聞くのがおすすめです。答えがあいまいな院は、入社後も一人体制が続く可能性があります。
まとめ|ワンオペでも休憩と安全は守られるべき
整骨院のワンオペ勤務は、小規模な院が多い業界では珍しくありません。それでも、休憩や安全の確保は院の責任であり、一人だからといって我慢し続ける必要はありません。
- 1施術所あたりの柔道整復師は約1.5人で、一人体制は起こりやすい
- 6時間超で45分、8時間超で1時間の休憩が法律上の義務
- すぐ対応する待機時間は休憩ではなく労働時間
- 休憩・体制改善・給与の3点で、続けるか転職するかを判断する
今の働き方に不安があるなら、中抜けシフトの見極め方の記事もあわせて読み、自分に合う働き方を考えてみてください。
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