「朝、院に向かう電車で動悸がする」「腰の痛みが引かず、施術中に手が震える」。それでも人手が足りないからと、無理をして出勤を続けている柔道整復師は少なくありません。
整骨院の仕事で心身が限界に近いときは、辞める前に「休職」して治療に専念する方法があります。この記事では、休職の考え方、健康保険の傷病手当金の条件と金額の目安、退職後も受け取れるケース、復職か転職かの判断までを解説します。
「休みたいけれど、院長に言い出せない」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で気持ちを整理することもできます。
整骨院で働く柔道整復師が休職を考えるべきサイン
眠れない、食欲がない、体の痛みで施術に集中できないといった状態が2週間以上続くなら、まず医療機関を受診し、休職を含めて考えるべきサインです。我慢を続けるほど回復に時間がかかります。
柔道整復師の仕事は、立ちっぱなしの施術と中腰の姿勢が続き、腰や手首への負担が大きい仕事です。患者さんの話に耳を傾ける気疲れや、長い拘束時間も重なり、心と体の両方が疲れやすい環境にあります。
心と体に出やすい不調のサイン
- 休みの日も疲れが抜けず、朝起きられない
- 出勤前になると腹痛や動悸、吐き気が出る
- 施術中に集中できず、ミスが増えた
- 腰や手首の痛みで、施術の姿勢がとれない
- 以前は楽しかった勉強や趣味に興味がわかない
休職とは何か
休職とは、雇用契約を続けたまま、病気やけがの治療のために一定期間仕事を休むことです。院の就業規則に休職制度があればそれに沿って休み、制度がなくても、医師の診断書をもとに院と相談して休むことができます。
休職は「逃げ」ではなく、回復して再び働くための準備期間です。無理を続けて退職に追い込まれるより、いったん立ち止まるほうが、結果的に選べる道が広がります。
真面目な人ほど「自分が休むと患者さんや同僚に迷惑がかかる」と考え、限界まで無理をしがちです。しかし、体調を崩したまま施術を続けると、施術の質が下がり、かえって患者さんのためになりません。
休職中の過ごし方
休職中は、まず睡眠と食事のリズムを整え、治療に専念することが最優先です。仕事のことを考えすぎないよう、院からの連絡は月1回の体調報告など、あらかじめ頻度を決めておくと気持ちが楽になります。
体調が少し上向いてきたら、散歩や軽い運動から始め、通勤と同じ時間に外出してみるのも効果的です。復帰に向けた生活リズムを少しずつ取り戻していきましょう。
休職中の収入を支える傷病手当金のしくみ
会社の健康保険に加入していれば、業務外の病気やけがで働けず給与が出ない期間、健康保険から傷病手当金を受け取れます。金額は、おおむね給与の3分の2が目安です。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内によると、傷病手当金は、仕事を休み始めてから連続した3日間(待期期間)の後、4日目から支給されます。待期期間には有給休暇や公休日も含まれます。
受け取るための4つの条件
- 業務外の病気やけがの療養のために休んでいる
- 医師の意見などから、仕事ができない状態と判断される
- 連続した3日間の待期期間を含め、4日以上仕事を休んでいる
- 休んだ期間に給与の支払いがない(一部支給なら差額を支給)
金額の目安と支給される期間
1日あたりの支給額は、直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2です。たとえば標準報酬月額の平均が24万円なら、1日あたり約5,330円、30日でおよそ16万円が目安になります。
支給期間は、支給を始めた日から通算して1年6か月です。2022年1月の改正で、途中で出勤して支給されなかった期間は数えない「通算」の仕組みになりました。体調を見ながら復帰を試せるのは安心材料です。
休職中に院から給与の一部が支払われる場合は、その分が差し引かれて支給されます。給与の額が傷病手当金より多ければ、その期間の傷病手当金は支給されません。
申請は1か月ごとなど、期間を区切って行うのが一般的です。申請書には医師の証明欄と事業主の証明欄があるため、院長には「毎月書類をお願いすることになります」と、休職の相談の段階で伝えておくとスムーズです。
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休職の進め方と、復職か転職かの考え方
休職は「受診→診断書→院への相談→申請」の順に進めます。休職後は、同じ院に戻るか、負担の少ない職場に移るかを、体調が落ち着いてから判断すれば大丈夫です。
受付締め後、誰もいなくなった施術室で院長に「少しお話が」と切り出す。言い出しにくい場面ですが、診断書があれば、体調を客観的に伝えられます。
休職の進め方
- 心療内科や整形外科など、症状に合う医療機関を受診する
- 医師に、仕事を休む必要があるかを相談し、診断書をもらう
- 院長に診断書を見せ、休職の期間と連絡方法を相談する
- 傷病手当金の申請書に、本人・院・医師がそれぞれ記入する
- 加入している健康保険(協会けんぽなど)に申請する
退職しても受け取れるケース
協会けんぽの案内では、退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していて、退職時に傷病手当金を受けているか受けられる状態であれば、退職後も残りの期間を受け取れるとされています。
ただし、退職日に出勤すると、退職後の分は受け取れなくなります。辞める前提で休む場合は、退職日の扱いを事前に確認しておきましょう。退職後の保険の切り替えは整骨院を辞めた後の健康保険と年金の記事で解説しています。
復職するか転職するかの判断基準
体調が回復してきたら、不調の原因が「一時的な負担」なのか「職場の環境そのもの」なのかを振り返ってみましょう。原因が職場に残ったままなら、同じ院に戻っても再び体調を崩すおそれがあります。
| 状況 | 考えたい選択 |
|---|---|
| 繁忙期の一時的な無理が原因だった | 勤務時間を調整して復職 |
| 院長が業務量の見直しに前向き | 短時間勤務から段階的に復職 |
| 長時間労働やハラスメントが続いている | 回復後に転職を検討 |
| 体の痛みで施術の継続が難しい | 施術以外の仕事も含めて転職を検討 |
職場の人間関係が不調の原因になっている場合は、整骨院のパワハラの相談先の記事も参考にしてください。転職を考える場合も、焦らず体調が整ってから動き出すのが大切です。
施術の仕事に戻るのが不安な場合は、医療機関や介護施設、企業のヘルスキーパーなど、柔道整復師の資格を活かしながら体の負担を抑えられる働き方もあります。選択肢を知っておくだけでも、気持ちに余裕が生まれます。
よくある質問(FAQ)
整骨院の仕事で腰を痛めた場合も傷病手当金はもらえますか?
仕事が原因のけがや病気は、原則として傷病手当金ではなく労災保険の対象になります。施術中の負担で痛めた場合は、労災にあたるかを院や労働基準監督署に確認しましょう。
社会保険に入っていない整骨院でも傷病手当金はもらえますか?
傷病手当金は会社の健康保険の制度で、国民健康保険には原則としてありません。社会保険に加入していない院で働いている場合は受け取れない可能性が高いため、加入状況を確認しておきましょう。
休職中に院長から「早く戻って」と言われたらどうすればいいですか?
復帰の時期は、医師の判断をもとに決めるのが基本です。主治医に「職場から復帰を求められている」と伝え、意見書や診断書で必要な休養期間を示してもらいましょう。
うつ病などメンタルの不調でも傷病手当金の対象になりますか?
業務外の病気として医師が仕事を休む必要があると判断すれば、心の不調も対象になります。ただし、職場のパワハラなど仕事が原因と考えられる場合は、労災にあたることもあります。
休職してから退職しても失業保険はもらえますか?
病気で働けない間は失業保険を受け取れませんが、受給期間の延長を申請できます。回復して働ける状態になってから、ハローワークで手続きをする流れが一般的です。
まとめ|限界を感じたら、辞める前に休む選択肢を
整骨院で働く柔道整復師が心身の限界を感じたときは、退職の前に休職という方法があります。会社の健康保険に入っていれば、傷病手当金で休職中の収入を支えられます。
- 不調が2週間以上続くなら、受診して休職を考える
- 傷病手当金は給与のおおむね3分の2、4日目から支給される
- 支給期間は通算1年6か月で、条件を満たせば退職後も受け取れる
- 仕事が原因のけがや病気は、労災保険の対象になる
まずは自分の体を最優先に考え、必要なら周りに頼ってください。社会保険に入っていない院で働いている方は、社会保険なしの整骨院の記事もあわせて確認してみてください。
治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。休職中の方、体調が戻ってから働き方を考えたい方も、焦らずにご相談ください。まずは相談だけでも大丈夫です。



