「院長から突然、来月で閉院すると告げられた」「給料の振込が遅れがちで、院が続くのか不安」。勤め先の整骨院がなくなるかもしれないとき、まず心配になるのはお金と次の仕事のことです。
結論から言うと、整骨院が閉院・倒産しても、働いた分の給料を受け取る権利はなくなりません。院が払えない場合でも、国の未払賃金立替払制度で一部を受け取れることがあります。この記事では、閉院・倒産のときの給料の扱いと、やるべき手続きを順番に解説します。
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整骨院が閉院・倒産しても給料を受け取る権利は残る
勤務先の整骨院が閉院や倒産をしても、すでに働いた分の給料や退職金を受け取る権利は残ります。院に支払い能力がない場合は、国の制度で一部を立て替えてもらえる可能性があります。
閉院とは院の営業をやめること、倒産とは借金などを返せなくなり、事業を続けられなくなることです。閉院しても経営者や会社が支払い能力を持っていれば、通常どおり給料を請求できます。
朝礼で院長から「今月末で閉めることになった」と告げられ、頭が真っ白になる。患者さんへの説明や引き継ぎに追われるなかで、自分の給料のことは後回しにしがちです。けれども、まず確認すべきは自分の生活を守るための手続きです。
賃金の不払いは珍しくない
厚生労働省の発表によると、2024年に全国の労働基準監督署が扱った賃金不払事案は22,354件、金額は172億1,113万円でした。厚生労働省は、倒産件数の増加も影響したとみています。
小規模な整骨院では、経営が苦しくなると給料の遅れから始まることがあります。振込の遅れが続いたら、早めに記録を残しておくことが大切です。
突然の閉院でも解雇予告のルールがある
院が閉院を理由にスタッフを解雇するときも、原則として30日前までに予告するか、足りない日数分の解雇予告手当を支払う必要があります。これは労働基準法第20条で定められたルールです。
「明日から来なくていい」と突然言われた場合は、解雇予告手当を請求できる可能性があります。言われた日時と内容をメモしておきましょう。
未払賃金立替払制度で受け取れる額の目安
院が倒産して給料や退職金が払われないまま退職した場合、国の未払賃金立替払制度を使うと、未払い分の8割を受け取れることがあります。ただし、退職時の年齢に応じて上限があります。
この制度は、労働者健康安全機構が院に代わって支払い、後で院に請求する仕組みです。厚生労働省の立替払制度のQ&Aに、くわしい要件がまとめられています。
年齢ごとの上限額
| 退職時の年齢 | 未払賃金総額の限度額 | 立替払の上限額 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 110万円 | 88万円 |
| 30歳以上45歳未満 | 220万円 | 176万円 |
| 45歳以上 | 370万円 | 296万円 |
対象になるのは、退職日の6か月前から請求日の前日までに支払日が来た毎月の給料と退職金です。賞与(ボーナス)は対象外で、未払いの総額が2万円未満の場合も対象になりません。
たとえば、35歳で退職し、未払いの給料と退職金が合わせて200万円ある場合は、その8割の160万円が立替払の目安になります。未払いが300万円ある場合は、限度額220万円の8割にあたる176万円が上限です。
制度を使うための主な条件
- 院が労災保険の適用事業で、1年以上事業を行っていた
- 裁判所での破産手続などの「法律上の倒産」か、中小企業で労働基準監督署長が認めた「事実上の倒産」にあたる
- 倒産の申立てなどの6か月前から2年の間に退職している
- 破産手続開始の決定などの翌日から2年以内に請求する
事実上の倒産の認定は、労働基準監督署に申請します。閉院後に院長と連絡が取れなくなった場合も、まずは監督署に相談してみましょう。
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閉院・倒産のときにやるべき手続き
閉院や倒産がわかったら、未払いの給料の記録、離職票などの書類の受け取り、失業給付の手続きを、この順番で進めるのが基本です。院がなくなると書類の受け取りが難しくなるため、早めの行動が大切です。
慌ただしいなかでも、手元に残すべき書類はしっかり集めておきましょう。後から手続きをするときに、必ず必要になります。
やることの順番
- 給与明細・雇用契約書・タイムカードの写しを手元に集める
- 未払いの給料がある場合は、金額と支払日をメモしておく
- 院に離職票・源泉徴収票の発行を依頼する
- 離職票が届いたら、ハローワークで失業給付の手続きをする
- 未払いが続く場合は、労働基準監督署に相談する
会社都合の退職になるのが一般的
閉院や倒産による退職は、自分から辞める自己都合退職ではなく、会社都合の退職として扱われるのが一般的です。会社都合の場合、失業給付の給付制限がなく、受け取れる日数も多くなることがあります。
離職票の離職理由が実態と違う場合は、ハローワークで異議を申し立てられます。離職票が届かないときの対処は、離職票が届かないときの記事を参考にしてください。
健康保険は、退職すると院の保険から外れます。国民健康保険に入るか、家族の扶養に入るか、任意継続にするかを、退職後すぐに決めて手続きしましょう。年金も国民年金への切り替えが必要です。
閉院の前兆と、早めにできる備え
整骨院の閉院は突然に見えても、給料の遅れや院長の様子の変化など、前兆があることが少なくありません。気になるサインに気づいたら、転職先の情報を集め始めておくと、閉院が決まっても慌てずに済みます。
前兆に気づいたからといって、すぐに辞める必要はありません。ただ、いざというときの選択肢を持っておくことは、自分と家族を守ることにつながります。
閉院の前兆になりやすいサイン
- 給料の振込日が遅れる、分割で払われる
- 社会保険料が引かれているのに、加入記録がない
- 備品や消耗品の補充が止まる
- 院長が院に来る日が減る、急に人員を減らす
給料の遅れや未払いについては、整骨院の給料未払いの記事でくわしく解説しています。
こうしたサインがいくつも重なる場合は、給料の記録をこまめに残し、転職の情報も集め始めておきましょう。備えがあれば、いざというときに落ち着いて判断できます。
担当患者さんへの対応も考えておく
閉院が決まったら、担当している患者さんへの説明やほかの院の紹介をどうするか、院長と相談しておきましょう。自分だけで判断せず、院の方針を確認してから伝えることが大切です。
退職後の失業給付の流れは、退職後の失業保険の記事にまとめています。
よくある質問(FAQ)
勤めている整骨院が倒産したら、未払いの給料はもらえますか?
院に支払い能力があれば請求できます。払えない場合でも、国の未払賃金立替払制度で、未払い分の8割を受け取れることがあります。退職時の年齢で上限が決まっており、30歳以上45歳未満なら最大176万円です。
整骨院の閉院で突然「明日から来なくていい」と言われました。どうすればいいですか?
解雇するときは、原則として30日前に予告するか、足りない日数分の解雇予告手当を支払う必要があります。言われた日時と内容をメモし、手当が払われない場合は労働基準監督署に相談しましょう。
閉院で辞めた場合、失業保険はすぐにもらえますか?
閉院や倒産による退職は会社都合として扱われるのが一般的で、自己都合退職のような給付制限はありません。離職票を受け取ったら、早めにハローワークで手続きをしましょう。
院長と連絡が取れなくなりました。給料はあきらめるしかないですか?
あきらめる必要はありません。中小企業で事業が止まり支払いができない状態であれば、労働基準監督署長が「事実上の倒産」と認めることで、立替払制度を使える可能性があります。まずは監督署に相談しましょう。
賞与(ボーナス)が払われないまま倒産しました。立替払の対象になりますか?
賞与は立替払制度の対象外です。対象になるのは、退職日の6か月前以降に支払日が来た毎月の給料と退職金です。賞与の未払いは、破産手続などの中で請求することになります。
まとめ|閉院・倒産でも給料の権利は守られる
勤務先の整骨院が閉院・倒産しても、働いた分の給料を受け取る権利は残ります。院が払えない場合は、未払賃金立替払制度で未払い分の8割(年齢ごとに上限あり)を受け取れることがあります。
- 解雇は原則30日前の予告か、解雇予告手当の支払いが必要
- 給与明細や契約書など、手元に書類を集めておく
- 離職票を受け取り、ハローワークで失業給付の手続きをする
- 未払いが続くときは、労働基準監督署に相談する
不安な状況でも、手順を知っておけば落ち着いて動けます。次の職場探しも、早めに始めておきましょう。
閉院や経営の不安を抱えたまま働くのはつらいものです。次の職場探しを一緒に考えてみませんか。
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