「次の整骨院の院長が、今の院長と知り合いだったらどうしよう」「辞め方でもめたから、悪く言われないか心配」。業界が狭いからこそ、転職先が前の職場に連絡しないか不安になる柔道整復師は多いものです。
結論から言うと、前の職場があなたの個人情報を本人の同意なく転職先に伝えることは、法律で原則として禁止されています。この記事では、前職調査とは何か、法律上のルール、面接で困らないための備え方と、トラブルになったときの相談先を解説します。
「前の職場との関係が気になって転職に踏み切れない」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で話を聞くこともできます。
前職調査は本人の同意なしには原則できない
転職先の整骨院が、あなたの同意なく前の院から個人情報を聞き出したり、前の院が勝手に教えたりすることは、個人情報保護法などのルールで原則として認められていません。
前職調査とは、採用する側が、応募者の前の職場に在籍状況や勤務態度などを確認することです。本人の同意を得て、本人が指定した人に話を聞く方法は「リファレンスチェック」とも呼ばれます。
面接の帰り道、「そういえば院長、前の院の近くの出身だと言っていたな」と気になり始める。そんな不安を抱えたまま転職活動を続けるのはつらいものです。まずは、法律がどこまで守ってくれるのかを知っておきましょう。
個人情報保護法のルール
個人情報保護法第27条では、事業者が個人データを第三者に提供するときは、原則として本人の同意が必要とされています。前の整骨院が、あなたの勤務記録や評価を同意なく転職先に伝えることは、この規定に反するおそれがあります。
小さな整骨院であっても、スタッフの情報を個人データとして管理していれば、このルールの対象になります。
採用する側にも決まりがある
職業安定法と厚生労働省の指針では、採用する側が応募者の個人情報を集めるときは、業務に必要な範囲で、原則として本人から集めることが求められています。本人に知らせずに前の職場から情報を集めることは、この考え方に沿いません。
もちろん、院長同士が雑談のなかで話題にしてしまう、ということが絶対にないとは言えません。だからこそ、自分でできる備えをしておくことが大切です。
柔道整復師の業界で前職が気になりやすい理由
柔道整復師の業界は、地域ごとの院長同士のつながりや、養成校の先輩・後輩の関係が強く、前の職場の話が伝わりやすいと感じる人が多い業界です。ただし、実際には院の数も多く、すべてがつながっているわけではありません。
厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によると、2024年末の柔道整復の施術所は全国に50,924か所、施術所で働く柔道整復師は78,666人です。狭い業界と言われながらも、職場の選択肢は数多くあります。
前職のことが伝わりやすい場面
- 同じ地域の院や、同じグループの院に転職する
- 前の院長と、転職先の院長が同じ団体や勉強会に参加している
- 応募書類に、前の院長を推薦者として書く
こうした場面では、話が伝わる可能性を前提に、円満に退職しておくことが一番の対策になります。
退職証明書に書かれるのは本人が求めた事項だけ
労働基準法第22条では、退職証明書には、本人が請求した事項だけを書くことが定められています。本人が求めていないのに、退職理由や評価を書き加えることはできません。
同じ条文では、働く人の就業を妨げる目的で、あらかじめ第三者と示し合わせて国籍・信条・社会的身分・労働組合運動に関する情報をやり取りすることや、退職証明書に秘密の記号を書き込むことも禁止されています。再就職を妨げるための情報のやり取りは、法律の考え方に反するものです。
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面接で困らないための備え方
前職調査を心配するより、退職理由を一貫して前向きに説明できるよう準備しておくことが、いちばん確実な備えになります。話に矛盾がなければ、前の職場の話題が出ても落ち着いて対応できます。
面接で前の職場の不満ばかり話すと、それだけで印象が悪くなります。事実は事実として、今後どうしたいかに話をつなげることが大切です。
準備しておきたいこと
- 退職理由を、事実と今後の希望の2つに分けて整理する
- 前の職場の悪口にならない言い方に整える
- 在籍期間や担当業務を、履歴書と同じ内容で話せるようにしておく
- 推薦者を聞かれたら、信頼できる先輩や元同僚にあらかじめ了承をもらう
- リファレンスチェックの同意を求められたら、対象と範囲を確認してから答える
退職理由の伝え方は、面接での退職理由の答え方の記事が参考になります。鍼灸師向けの記事ですが、考え方は柔道整復師にも共通です。
円満退職がいちばんの対策
できるだけ円満に辞めておけば、たとえ前の院長と転職先がつながっていても、心配することはほとんどありません。引き継ぎを丁寧に行い、最後まで誠実に勤めることが大切です。
退職の手順は整骨院の退職届の書き方と出し方で、引き止めへの対応は辞めさせてもらえないときの記事でまとめています。
前の職場から悪評を流されたときの対処
前の職場が事実と違う悪評を転職先に伝えたり、採用を妨げようとしたりした場合は、記録を残したうえで専門の窓口に相談しましょう。内容によっては、名誉毀損などにあたる可能性もあります。
ただし、うわさを確かめようとして前の院に直接問い詰めると、関係がさらにこじれることがあります。感情的に動く前に、第三者に相談するのが安全です。
相談するときは、誰から、いつ、どのような話を聞いたのかを時系列でまとめておくと、話がスムーズに進みます。転職先の担当者から聞いた場合は、その人の名前と日時も控えておきましょう。
主な相談先
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局):職場のトラブル全般を無料で相談できる
- 個人情報保護委員会の相談ダイヤル:個人情報の扱いについて相談できる
- 法テラスや弁護士:名誉毀損など法的な対応を検討したいとき
不安で転職をあきらめないために
「前の院長に何か言われるかもしれない」という不安から、合わない職場にとどまり続ける必要はありません。法律は、働く人が職場を選ぶ自由を守っています。
退職時に競業避止の誓約書にサインを求められた場合は、競業避止の誓約書の記事も確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
転職先の整骨院が、前の院長に私のことを聞くことはありますか?
本人の同意なく前の職場から個人情報を集めたり、前の職場が勝手に伝えたりすることは、法律で原則として認められていません。ただ院長同士の雑談などは防ぎきれないため、円満退職と一貫した退職理由の説明が一番の備えです。
リファレンスチェックの同意を求められたら断ってもいいですか?
断ることはできますが、選考に影響する可能性はあります。同意する前に、誰に何を確認するのかを聞き、信頼できる先輩や元同僚を推薦者として指定できないか相談してみましょう。
前の整骨院を辞めるときにもめました。転職で不利になりますか?
前の職場が同意なく情報を伝えることは原則として認められていないため、必ず不利になるとは限りません。面接では不満を並べず、事実と今後の希望を落ち着いて伝えれば、評価を下げずに済みます。
退職証明書に、辞めた理由を書かれたくありません。
退職証明書には、本人が請求した事項だけを書くことが労働基準法で定められています。退職理由を書いてほしくない場合は、請求する項目に含めなければ記載されません。
前の院長が、転職先に悪いうわさを流しているようです。どうすればいいですか?
聞いた内容や日時をメモに残し、総合労働相談コーナーや弁護士に相談しましょう。事実と違う内容で評判を傷つけている場合は、名誉毀損などにあたる可能性があります。直接問い詰めるのは避けたほうが安全です。
まとめ|前職調査の不安は備えで小さくできる
前の職場が本人の同意なく個人情報を転職先に伝えることは、個人情報保護法などで原則として認められていません。採用する側も、応募者の情報は本人から集めるのが原則です。
- 退職証明書には、本人が求めた事項しか書けない
- 就業を妨げる目的で、国籍・信条などの情報をやり取りすることは禁止されている
- 退職理由を一貫して前向きに説明できるよう準備する
- 悪評などのトラブルは、記録を残して相談する
前の職場への不安で、自分に合う職場を探すことをあきらめる必要はありません。
前の職場との関係が気になって一歩を踏み出せない方も、まずは状況を話してみませんか。
治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。「まだ辞めるか決めていない」「話を聞いてほしいだけ」という段階でも、まずは相談だけでも大丈夫です。無理に転職をすすめることはありませんので、気軽にLINEからご連絡ください。



