「養成校の学費で借りた奨学金を、毎月の給料から返している」「転職したいけれど、収入が一時的に下がったら返還が続けられるか不安」。柔道整復師の中には、奨学金の返還を抱えながら働いている人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、返還が苦しいときに月々の返還額を減らしたり、返還を先送りしたりできる制度があります。この記事では、転職の前後で知っておきたい返還の制度と、奨学金を返しながら職場を選ぶときのポイントを解説します。
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返還が苦しいときは「減額返還」と「返還期限猶予」を使える
JASSOの奨学金は、収入が減るなどして返還が難しくなったとき、月々の返還額を減らす「減額返還」や、返還を一時的に先送りする「返還期限猶予」を申請できます。どちらも、延滞する前に申請するのが基本です。
減額返還とは、1回あたりの返還月額を減らして、その分だけ返還の期間を延ばす制度です。JASSOの案内では、返還月額を3分の2、2分の1、3分の1、4分の1のいずれかに減額でき、1回の申請で12か月、通算15年(180か月)まで利用できるとされています。
返還期限猶予とは、災害やけが・病気、経済的な事情、失業などで返還が難しい場合に、返還を一定期間先送りできる制度です。経済的な事情などによる猶予は、通算10年(120か月)が上限です。
たとえば、毎月の返還額が16,000円の場合、2分の1に減額すると8,000円、4分の1なら4,000円になります。月々の負担は軽くなりますが、そのぶん返し終わるまでの期間は長くなる点を覚えておきましょう。
減額返還と返還期限猶予の違い
| 制度 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 減額返還 | 月々の返還額を減らして返し続ける | 収入は下がったが、少しずつなら返せる |
| 返還期限猶予 | 一定期間、返還を止める(先送りする) | 失業中や、収入が大きく減って返還が難しい |
どちらの制度も、借りた金額が減るわけではありません。返還期限猶予の場合、猶予した期間の分だけ返し終わる時期が後ろにずれます。
申請するときの流れ
- JASSOのホームページで、自分が条件に当てはまるかを確認する
- 収入を示す書類(源泉徴収票など)や、事情を示す書類を準備する
- インターネット(スカラネット・パーソナル)や書類で申請する
- 審査の結果を確認し、承認された内容で返還を続ける
審査には時間がかかることもあります。「来月から苦しくなりそう」と感じた時点で、早めに準備を始めましょう。
転職のタイミングで注意したいこと
転職の前後は、収入が不安定になりやすい時期です。退職から次の院で働き始めるまでの間に空白があると、その間の返還が負担になることがあります。
退職から入職までに空白がある場合
転職先が決まる前に退職して、しばらく収入がない場合は、返還期限猶予の対象になることがあります。失業した場合の猶予では、ハローワークでの手続きの書類などで状況を示すことが求められます。退職後の失業保険の手続きは、整骨院を辞めた後の失業保険の記事で解説しています。
口座振替の口座を変える場合は早めに手続き
転職をきっかけに給与の振込口座を変える人もいます。奨学金の返還口座も変える場合は、引き落としに間に合うよう、早めに手続きをしておきましょう。残高不足で引き落としができないと、延滞の扱いになってしまいます。
延滞すると不利益が大きい
返還が遅れると、延滞金がかかります。また、延滞が3か月以上続くと、個人信用情報機関に登録され、クレジットカードやローンの審査に影響することがあります。開業の資金を借りたいと考えている人にとっては、大きな痛手になりかねません。
💬 返還のことも含めて相談できます
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返還の相談は、JASSOの奨学金相談センターで受け付けています。困ったときは、一人で悩まずに問い合わせてみましょう。
代理返還制度がある職場という選択肢
最近は、勤務先が社員の奨学金の返還を支援する職場も増えています。特に、勤務先が日本学生支援機構に直接お金を送る「代理返還」の仕組みは、2021年4月から利用できるようになりました。
代理返還とは、企業などが社員の奨学金の返還残額の一部または全額を、社員に代わって日本学生支援機構に直接送金する制度です。手当として給料に上乗せされる場合と違い、一定の条件を満たせば、所得税がかからないなどの利点があるとされています。
整骨院や接骨院でも、グループで複数の院を運営する会社などを中心に、福利厚生として奨学金返還支援を取り入れる例があります。ただし、制度の名前が同じでも、金額や条件は職場によって大きく違います。「支援あり」という一言だけで判断せず、中身まで確かめましょう。
求人票や面接で確認したいこと
- 奨学金返還支援の制度があるか、あれば月額や上限額はいくらか
- 支援は手当として支給されるのか、代理返還なのか
- 支援を受ける条件(勤続年数、正社員のみなど)
- 途中で辞めた場合に、支援額の返金を求められることがないか
特に4つ目は大切です。辞めたときに支援額を返すよう求められる仕組みだと、事実上、辞めにくくなってしまいます。条件は必ず書面で確認しましょう。
返還の残り額と期間を把握しておく
転職を考え始めたら、まずは奨学金の残りの金額と、返し終わる予定の時期を確認しましょう。スカラネット・パーソナルで確認できるほか、毎年届く返還の通知にも記載されています。残りがどれくらいかがわかると、転職先に求める収入の目安もはっきりします。
養成校を卒業して数年は、給料がまだ低く、返還の負担を重く感じやすい時期です。一人で抱え込まず、制度や職場の支援を上手に使いましょう。
奨学金を返しながら職場を選ぶときのポイント
奨学金の返還がある人ほど、目先の給料の額だけでなく、毎月の手取りが安定しているか、残業代がきちんと払われるかを確認することが大切です。
- 基本給の割合が高く、歩合の変動に左右されにくいか
- 残業代が、働いた時間に応じて支払われているか
- 社会保険に加入でき、将来の年金や手当の備えがあるか
- 昇給のしくみが、労働条件通知書などで示されているか
「月給が高い」と思っても、固定残業代が多く含まれていたり、歩合の割合が大きかったりすると、手取りが安定しないことがあります。転職を考える時期については、柔道整復師の転職タイミングの記事も参考にしてください。退職後の健康保険や年金の手続きは、整骨院を辞めた後の保険と年金の記事にまとめています。
よくある質問(FAQ)
奨学金の返還が苦しいとき、月々の返還額を減らせますか?
JASSOの奨学金なら、減額返還を申請できます。返還月額を3分の2、2分の1、3分の1、4分の1のいずれかに減らせ、通算15年まで利用できます。
転職の間に無職の期間があります。奨学金の返還を止められますか?
失業などで返還が難しい場合は、返還期限猶予を申請できることがあります。経済的な事情などによる猶予は通算10年が上限で、借りた金額が減るわけではありません。
奨学金の返還を支援してくれる整骨院はありますか?
奨学金返還支援の制度を設けている職場もあります。勤務先が直接返還する代理返還の仕組みもあるため、求人票や面接で制度の有無と条件を確認しましょう。
奨学金の返還が遅れると、どうなりますか?
延滞金がかかるほか、延滞が3か月以上続くと個人信用情報機関に登録され、ローンやクレジットカードの審査に影響することがあります。返還が難しくなりそうなら、延滞する前に相談しましょう。
奨学金返還支援がある職場を辞めたら、支援額を返す必要がありますか?
職場の制度によって違います。辞めたときに返金を求める仕組みがないか、入職前に書面で確認しておくことが大切です。
まとめ|制度を知っておけば、転職も前向きに考えられる
奨学金の返還があっても、転職をあきらめる必要はありません。返還が苦しいときに使える制度を知っておけば、収入が一時的に下がる時期も乗り越えやすくなります。
- 減額返還なら、返還月額を4分の1まで減らせる(通算15年まで)
- 失業などで返せないときは、返還期限猶予(通算10年まで)
- 延滞は信用情報に影響する。困ったら延滞する前に申請
- 奨学金返還支援がある職場は、辞めたときの条件まで確認
返還の計画と職場選びをセットで考えることが、安心して働き続けるための近道です。
奨学金の返還を抱えながらの転職に不安がある方も、お気軽にご相談ください。
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