整骨院で分院長を打診されたら?引き受ける前の判断基準

診療後の施術室で院長から分院長を打診され、引き受けて大丈夫か戸惑う柔道整復師
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ある日の診療後、院長に呼ばれて「来年オープンする分院を任せたい」と言われた。うれしい反面、「自分にできるのか」「今より忙しくなるだけでは」と、すぐに返事ができなかった柔道整復師の方もいるのではないでしょうか。

分院長とは、グループの整骨院のうち本院以外の院を任され、施術に加えてスタッフの管理や売上、保険請求の責任を負う立場のことです。多くの場合、保険請求を行う「施術管理者」も兼ねます。

この記事では、分院長を打診されたときに確認したい要件や条件、引き受けるかどうかの判断基準、断るときの伝え方を解説します。

「分院長の話、受けるべきか迷っている」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で、今後のキャリアを一緒に整理することもできます。

目次

分院長を打診されたら最初に確認したい要件と役割

分院長を打診されたら、まず「施術管理者の要件を満たしているか」と「具体的にどんな責任を負うのか」を確認しましょう。役割があいまいなまま引き受けると、負担だけが増える結果になりかねません。

厚生労働省の地方厚生局の案内によると、柔道整復の施術管理者になるには、2024年度(令和6年度)以降、資格取得後3年以上の実務経験(うち保険医療機関での従事は2年まで)と、施術管理者研修の受講が必要です。経験年数が足りない場合、分院長になっても保険請求の責任者にはなれません。

施術管理者になると負う責任

  • 療養費の請求内容が正しいかを確認する責任
  • 施術録(カルテ)の記載と保管の管理
  • 保険者からの照会や、厚生局の指導への対応

保険請求に不正があった場合、施術管理者として責任を問われる立場になります。本院の方針として、慢性症状を外傷として請求するような運用がないかは、引き受ける前に必ず確かめておきましょう。

分院長の仕事の範囲を言葉にしてもらう

分院長の仕事は、施術だけではありません。スタッフのシフト作成や採用、売上の管理、本院への報告など、管理業務が大きく増えます。「何を任されて、何を決める権限があるのか」を、院長に具体的に聞いておくことが大切です。

よくあるケースとして、肩書きは分院長になったものの、スタッフの採用も備品の購入も本院の許可が必要で、責任だけが重くなったという相談があります。

打診された直後は、うれしさや焦りから、その場で返事をしてしまいがちです。「少し考えさせてください。条件を書面でいただけますか」と伝えて、数日の検討期間をもらうのが安心です。家族に相談する時間も確保できます。

「名ばかり管理職」にならないために確認したい給与と働き方

分院長を引き受けるときは、役職手当の額と、残業代がどう扱われるかを必ず確認しましょう。役職がついたことを理由に残業代が出なくなり、実質の時給が下がるケースがあるからです。

労働基準法第41条では、「管理監督者」には労働時間や休日の規定が適用されないとされています。ただし、厚生労働省は、管理監督者にあたるかどうかは役職名ではなく、職務内容・責任と権限・勤務の実態・賃金などの待遇で判断すると示しています。

管理監督者にあたるかを見分けるポイント

確認する点 管理監督者と言いやすい 名ばかり管理職の疑い
権限 採用やシフトを自分で決められる すべて本院の許可が必要
勤務時間 出退勤を自分の裁量で決められる 一般スタッフと同じ時間に縛られる
待遇 役職にふさわしい手当がある 手当が残業代より少ない

管理監督者であっても、深夜(22時から翌5時)の割増賃金は支払う必要があります。固定残業代の考え方は柔道整復師の年収に潜む「みなし残業代」の罠でも解説しています。

役職手当と年収の目安を確かめる

分院長の役職手当の相場は院によって大きく違います。打診された条件が見合っているかは、院長・分院長になると年収はいくらになる?役職手当の相場と求められる力で紹介している考え方も参考に比べてみてください。

売上に応じた歩合がつく場合は、分院の立ち上げ期に売上が伸びないと、収入が下がるおそれもあります。立ち上げ期の最低保証があるかも確認しましょう。

分院の立ち上げ期は、開院準備や集客で休日にも出勤が続くことがあります。立ち上げ期の勤務時間や休日の見込みを事前に聞き、その分の手当や代休があるかもあわせて確認しておきましょう。

条件の説明を受けたら、口頭だけで終わらせず、役職手当の額や勤務時間を記載した書面をもらいましょう。労働条件が変わる場合は、新しい内容を書面で確認しておくことがトラブル防止につながります。

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分院長を引き受けるか迷ったときの判断基準と断り方

分院長を引き受けるかどうかは、「将来やりたいことにつながるか」「条件が責任に見合っているか」「本院の運営が健全か」の3つで判断するのがおすすめです。3つのうち2つ以上に自信が持てないなら、すぐに返事をせず条件の見直しを相談しましょう。

厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、柔道整復の施術所は50,924か所で、前回からほぼ横ばいです。施術所が多く競争が激しいなかで、分院の経営を任されることは、大きな経験になる一方で重い責任も伴います。

引き受けるとよいケース

  1. 将来の独立を考えていて、経営の経験を積みたい
  2. 役職手当や権限が明確で、書面で示されている
  3. 本院の保険請求や労務管理がきちんとしている

独立と勤務のどちらを目指すかの考え方は、柔道整復師の独立か転職か?でも整理しています。

断るときの伝え方

断るときは、評価してもらえたことへの感謝を伝えたうえで、「今は施術の技術を深めたい」「家庭の事情で勤務時間を増やせない」など、前向きで具体的な理由を添えると角が立ちにくくなります。

打診を断ったことで居づらくなったり、条件を一方的に変えられたりする場合は、職場を見直すタイミングかもしれません。管理職を任せる職場の姿勢は、断ったときの反応にも表れます。

迷ったときは、紙に「分院長になって得られるもの」と「失うかもしれないもの」を書き出して並べてみてください。経営の経験や収入アップと、自由な時間や施術に集中できる環境。どちらを今の自分が大切にしたいかが見えてきます。

分院長を経験した柔道整復師の中には、その経験を活かして独立した人もいれば、施術に専念できる職場へ移った人もいます。どちらの道も、自分で選んだのであれば正解です。

よくある質問(FAQ)

柔道整復師になって3年目で分院長を打診されました。早すぎますか?

早すぎるとは限りませんが、施術管理者の要件を満たしているかを確認しましょう。2024年度以降は、資格取得後3年以上の実務経験と研修の受講が必要です。経験年数だけでなく、スタッフ管理を支えてもらえる体制があるかも判断材料になります。

分院長になったら残業代は出なくなりますか?

役職がついただけで残業代が出なくなるわけではありません。労働基準法上の「管理監督者」にあたるかは、権限や勤務の実態、待遇で判断されます。権限が小さいのに残業代が出ない場合は、名ばかり管理職の可能性があります。

分院長の打診を断ったら、今の整骨院に居づらくなりますか?

伝え方次第で、関係を保てることが多いです。評価への感謝と、前向きな理由をセットで伝えましょう。それでも不利な扱いを受けるようなら、職場の姿勢を見直すきっかけと考え、ほかの働き方を検討するのも一つの方法です。

分院長の経験は転職で有利になりますか?

スタッフの管理や売上の改善など、具体的な成果を説明できれば評価されやすい経験です。職務経歴書には、担当したスタッフの人数や取り組んだ改善などを数字とあわせて書くと、管理職としての力が伝わりやすくなります。

分院長を任されたら、施術の時間は減りますか?

多くの場合、管理業務が増えるぶん、施術にかけられる時間は減る傾向があります。スタッフの人数や本院のサポート体制によって違うため、引き受ける前に「1日の施術人数の目安」と「管理業務にかける時間」を院長とすり合わせておくと安心です。

まとめ

分院長の打診は、キャリアを広げるチャンスである一方、施術管理者としての重い責任も伴います。返事をする前に、要件と条件をしっかり確認しましょう。

  • 施術管理者には実務経験3年以上と研修の受講が必要
  • 仕事の範囲と権限を、具体的に言葉にしてもらう
  • 役職手当と残業代の扱いを確認し、名ばかり管理職を避ける
  • 迷ったら「将来・条件・本院の健全さ」の3つで判断する

どちらを選んでも、自分で納得して決めることが一番大切です。

「分院長を受けるべきか」「ほかの道もあるのか」と迷っている段階でも大丈夫です。

治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。まずは相談だけでも大丈夫です。話しながら気持ちを整理するところから、一緒に始めましょう。

診療後の施術室で院長から分院長を打診され、引き受けて大丈夫か戸惑う柔道整復師

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