整骨院の居残り練習は無給でいい?労働時間の判断基準

夜の施術室で先輩に見守られながら疲れた顔で居残り練習をする柔道整復師と「居残り練習は無給でいい?」の見出し
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整骨院の居残り練習は、院の指示で参加が事実上義務になっている場合、労働時間にあたり、無給にすることは認められない可能性が高いです。居残り練習とは、診療終了後に院内に残り、施術の技術練習や勉強会を行うことを指します。

「診療が終わってから2時間の練習が毎日ある」「自由参加と言われるけれど、出ないと評価が下がる」。こうした悩みを抱える柔道整復師は少なくありません。この記事では、居残り練習が労働時間になる判断基準と、無給の練習が続くときの対処法、教育体制の整った職場の選び方を解説します。

「技術は身につけたいけれど、毎晩の無給練習がつらい」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で、教育体制の整った職場について聞いてみることもできます。

目次

整骨院の居残り練習は労働時間になるのか

居残り練習が労働時間になるかどうかは、院の指示や強制があるか、参加しないと不利益があるかで判断されます。名目が「自主練習」でも、実態として断れないなら労働時間とみなされる可能性があります。

整骨院では、技術は自分のためのものだから練習は自己投資、という考え方が根強く残っています。たしかに技術は本人の財産になりますが、院の方針として練習を求め、その成果で院の売上が上がる以上、院の業務としての側面もあります。どちらか一方だけで決まるのではなく、指示の有無や参加の自由度といった実態で判断されます。

厚生労働省のガイドラインの考え方

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017年)では、参加することが業務上義務づけられている研修や教育訓練の受講、使用者の指示で業務に必要な学習を行っていた時間は、労働時間にあたるとしています。

労働時間とは、使用者の指揮命令のもとに置かれている時間のことです。就業規則や院のルールに「練習は労働時間外」と書かれていても、実態が指示や強制によるものであれば、その記載だけで労働時間でなくなるわけではありません。

労働時間と判断されやすいケース

次のような状況は、居残り練習が労働時間と判断されやすいケースです。

  • 院長や先輩が日時を決めて、全員に参加を求めている
  • 参加しないと査定や昇給、施術デビューの時期に影響する
  • 練習の内容や進み具合を、上司がチェックしている
  • 新人は帰ってよいと言われない雰囲気がある
  • 練習の後に、片付けや翌日の準備まで任される

社会保険労務士事務所のブログでも、診療後の居残り練習や勉強会について、参加しないと評価に響くなど実質的に強制されている場合は労働時間とみなされ、無給・残業代未払いとなっている危険なケースがあると指摘されています。

無給の居残り練習はどれくらいの損になるのか

毎日1時間の無給練習でも、時給に換算すると月に数万円分の賃金が支払われていない計算になります。練習が法定労働時間を超えるなら、本来は割増賃金も必要です。

時給に換算してみる

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした柔道整復師などの1時間あたりの賃金は、一般労働者で2,266円です。仮にこの金額で計算すると、次のようになります。

無給練習の時間 1か月(20日)の時間 賃金に換算した目安
1日30分 10時間 約2万3千円
1日1時間 20時間 約4万5千円
1日2時間 40時間 約9万1千円

この金額は、job tagの時給(残業代や賞与を含めて1時間あたりに直した値)をそのまま当てはめた目安です。実際の時給は人によって異なるため、自分の月給を所定労働時間で割って計算してみると、より実感に近い数字になります。労働基準法第37条では、法定労働時間を超える労働には25%以上の割増賃金を支払うよう定めているため、実際にはさらに大きくなる可能性があります。

本当の負担はお金だけではない

よくあるケースは、20時に診療が終わり、片付けのあと22時まで練習、帰宅は23時近くという毎日です。睡眠や食事の時間が削られ、休日は疲れて寝て終わってしまいます。

技術を身につけたい気持ちが強い人ほど、無理を重ねてしまいがちです。先輩たちも同じように練習してきたと言われると、断ること自体が甘えのように感じてしまうかもしれません。しかし、疲れがたまった状態での練習は身につきにくく、施術中のケガの原因にもなります。若手が育つ職場の考え方は、若手が辞めない治療院の教育でも解説しています。

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居残り練習がつらいときの対処法と、教育体制の見極め方

居残り練習がつらいときは、練習の実態を記録したうえで、院に勤務時間内での研修や賃金の支払いを相談し、改善しなければ外部への相談や転職を検討するのが現実的です。教育体制の良し悪しは、入職前に確認できます。

今の職場でできる対処の手順

  1. 練習の日時、参加者、指示した人、内容をメモに残す
  2. 参加しなかったときに言われたことや評価への影響を記録する
  3. 院長に、練習時間を勤務時間として扱えないか相談する
  4. 改善しない場合は、労働基準監督署などの窓口に相談する
  5. 並行して、教育体制の整った職場の情報を集める

未払いの賃金は、2020年4月以降に支払われる分について3年間さかのぼって請求できます。記録が残っていれば、後から請求するときの根拠になります。院長や先輩からの強い言葉がある場合は、整骨院のパワハラの相談先も確認しておきましょう。

教育体制が整った整骨院の見分け方

技術を学べる職場を選ぶなら、研修の「量」より「仕組み」を確認しましょう。面接や見学では、次の点を聞くと実態が見えてきます。

  • 研修や練習は勤務時間内に行われるか、時間外なら賃金は出るか
  • 新人が施術に入るまでの期間と、段階的な目標があるか
  • 誰が、どのくらいの頻度で指導しているか
  • 外部セミナーの費用を院が負担する制度があるか

「うちは自主練が多いから成長できる」とだけ説明する院は、注意が必要です。具体的な研修のスケジュールを示せる院ほど、教育を仕組みとして整えている傾向があります。可能であれば、入職1〜2年目のスタッフに「練習は何時まで残っていますか」と直接聞いてみると、説明と実態の差がよく分かります。残業全般の扱いについては、整骨院のサービス残業への対処法も参考になります。

よくある質問

整骨院の居残り練習が自由参加なら、無給でも問題ありませんか?

本当に自由参加で、参加しなくても評価や扱いに影響がないなら、労働時間にはあたらない場合があります。ただし、名目は自由でも、出ないと叱られる、昇給に響くなど実質的に強制されているなら、労働時間と判断される可能性があります。

居残り練習の時間分の給料を請求できますか?

練習が労働時間と判断されれば、請求できる可能性があります。2020年4月以降に支払われる賃金については、3年間さかのぼって請求できます。練習の日時や指示の内容を記録しておくと、請求するときの根拠になります。

練習に参加しないと施術デビューが遅れると言われました。断れますか?

断ることはできますが、実際には言い出しにくいものです。施術デビューの条件として練習が必須になっているなら、その練習は業務の一部といえ、労働時間とみなされる可能性があります。まずは勤務時間内に研修を組めないか相談してみましょう。

技術を身につけるには居残り練習は必要ですか?

技術の習得に練習は欠かせませんが、時間外に無給で行う必要はありません。勤務時間内に研修の時間を設けている整骨院もあります。疲れがたまった状態での長時間練習より、計画的な研修のほうが身につきやすいという考え方もあります。

居残り練習が原因で整骨院を辞めるのは甘えですか?

甘えではありません。毎日の無給練習で睡眠や休日が削られ、体調を崩してしまっては本末転倒です。教育を勤務時間内に組み込んでいる職場もあるため、学ぶ意欲を活かせる環境に移ることは、治療家として長く働くための前向きな選択です。

まとめ

整骨院の居残り練習は、院の指示で参加が事実上義務になっている場合、労働時間にあたる可能性が高く、無給にすることは認められません。

  • 参加が義務づけられた研修や練習は労働時間にあたる(厚生労働省ガイドライン)
  • 出ないと評価に響く「自主練」は、実質的な強制とみなされ得る
  • 毎日1時間の無給練習は、月に数万円分の賃金に相当する
  • 練習の実態を記録し、相談や転職の判断材料にする

学ぶ意欲は、治療家にとって大きな財産です。その意欲が正当に評価され、心身を守りながら成長できる職場を選んでいきましょう。

技術を磨きたいという気持ちと、無給で長時間働かされることは別の問題です。学ぶ時間がきちんと評価され、休む時間も守られる職場で働くことは、長く治療家を続けるための大切な条件です。

治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。まずは相談だけでも大丈夫です。話を聞いてもらうだけで、気持ちが整理されることもあります。

夜の施術室で先輩に見守られながら疲れた顔で居残り練習をする柔道整復師と「居残り練習は無給でいい?」の見出し

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