「近所のマッサージ院が閉まった」「この資格で、この先も食べていけるのだろうか」。リラクゼーション店が増えるなかで、将来に不安を感じるあん摩マッサージ指圧師は少なくありません。
結論から言うと、あん摩マッサージ指圧だけを行う施術所は減っていますが、資格を持って働く人の数は増えており、働く場所が広がっているのが実態です。この記事では、厚生労働省の統計で現状を確認し、これから選びたい職場と見極め方を解説します。
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あん摩マッサージ指圧の施術所は2年で2.7%減少
あん摩・マッサージ・指圧だけを行う施術所は、2024年末までの2年間で486か所、2.7%減りました。一方、はり・きゅうも行う施術所は増えており、施術所のかたちが変わりつつあります。
施術所とは、あん摩マッサージ指圧師やはり師などが施術を行うために、保健所へ届け出た場所のことです。いわゆるマッサージ院や治療院がこれにあたり、資格のないリラクゼーション店は含まれません。
夕方、常連の患者さんから「最近この辺りも整体の店ばかりね」と言われ、言葉に詰まる。そんな場面に心当たりがある人もいるかもしれません。まずは数字で、業界の今を確認してみましょう。
厚生労働省の統計で見る施術所数
| 施術所の種類 | 2024年末 | 2022年末からの増減 |
|---|---|---|
| あん摩、マッサージ及び指圧を行う施術所 | 17,531か所 | 486か所減(2.7%減) |
| はり及びきゅうを行う施術所 | 35,494か所 | 1,604か所増(4.7%増) |
| あん摩、マッサージ及び指圧、はり並びにきゅうを行う施術所 | 38,595か所 | 221か所増(0.6%増) |
数字は、厚生労働省の令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)によるものです。マッサージ単独の施術所は減る一方で、鍼灸と組み合わせた施術所は横ばいから微増となっています。
あん摩マッサージ指圧師の数は増えている
同じ統計によると、2024年末に施術所などで働くあん摩マッサージ指圧師は119,703人で、2年前より790人(0.7%)増えました。資格を活かして働く人は、むしろ少しずつ増えています。
この人数には、施術所で働く人と出張専門で施術する人が含まれ、病院や介護施設に勤める人は含まれていません。実際には、統計の数字より幅広い場所で資格が活かされています。
施術所の減少が働き方に与える影響
マッサージ単独の施術所が減っていることは、「院に勤めて定年まで」という働き方だけに頼りにくくなっていることを示しています。これからは、鍼灸との併設院や訪問、介護など、複数の選択肢から自分に合う場所を選ぶ視点が大切です。
施術所の数が減る背景には、経営者の高齢化や、資格のないリラクゼーション店との価格競争などがあると言われます。ただ、国家資格があるからこそ働ける場所も多く、悲観しすぎる必要はありません。
国家資格だからこそ選べる職場
- 訪問マッサージ:医師の同意のもと、歩行が難しい人の自宅や施設で施術する
- 介護施設の機能訓練指導員:デイサービスなどで、利用者の機能訓練を担当する
- ヘルスキーパー:企業に雇われ、社員の体のケアを担当する
- 鍼灸・マッサージ併設院:はり・きゅうと組み合わせて施術する
どれも、無資格のリラクゼーション店では担えない仕事です。それぞれの仕事内容は、訪問マッサージの求人の記事や機能訓練指導員の記事でくわしく紹介しています。
訪問マッサージは、医師の同意を得て健康保険の療養費の対象になる施術です。高齢化が進むなかで、通院が難しい人の自宅や施設で施術する仕事として、あん摩マッサージ指圧師の資格がそのまま活きる分野です。
今の職場の将来性を見るポイント
今の職場の将来性は、患者数の推移、院長の年齢と後継ぎの有無、保険施術と自費施術のバランスで判断しやすくなります。経営が一人の院長に頼りきりの院は、急な閉院のリスクも考えておきましょう。
「最近、新しい患者さんが来ない」「院長が引退を口にし始めた」。こうした変化に気づいたら、早めに次の選択肢を調べておくと安心です。
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これから選びたい職場と見極め方
これからのあん摩マッサージ指圧師が職場を選ぶなら、資格が必要とされ、需要が続きやすい分野かどうかを基準にするのがおすすめです。あわせて、給与の仕組みと働く時間が自分の生活に合うかも確認しましょう。
同じ資格でも、職場によって仕事内容も収入の仕組みも大きく変わります。比べるときは、表のような観点で整理すると違いが見えやすくなります。
職場ごとの違いを比べる
| 職場 | 主な仕事 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 訪問マッサージ | 自宅・施設での施術 | 移動手段、歩合の割合、同意書の手続きの担当 |
| 介護施設 | 機能訓練、記録 | 施術の機会があるか、夜勤の有無 |
| ヘルスキーパー | 企業内での施術 | 雇用形態、契約期間 |
| 併設院 | 鍼灸・マッサージ | 担当する施術の範囲、指名や歩合の仕組み |
見学や面接で確認したいこと
- 直近1年で、患者数や利用者数がどう変わったか
- 給与のうち、固定給と歩合の割合はどれくらいか
- スタッフの平均的な勤続年数はどのくらいか
- 研修や同行など、新しい分野を学べる仕組みがあるか
聞きにくいことも、働き始めてから後悔するよりは、事前に確認しておくほうが安心です。答え方に誠実さがあるかどうかも、職場を見極める手がかりになります。
あん摩マッサージ指圧師が今から準備できること
将来に備えて今からできるのは、資格を活かせる分野を広げ、自分の強みを言葉にしておくことです。施術の得意分野や担当してきた患者層を整理しておくと、転職でも独立でも役立ちます。
急いで職場を変える必要はありません。ただ、選択肢を知っているだけで、職場の変化にも落ち着いて向き合えるようになります。
強みを整理するための問い
- どんな症状や年代の患者さんを多く担当してきたか
- 指名やリピートが多い施術は何か
- 訪問・介護・企業など、興味のある分野はどこか
- はり師・きゅう師の資格を取る意欲はあるか
強みを書き出すときは、「肩こりの施術が得意」のような一言で終わらせず、どんな人にどんな変化があったかまで具体的に書くのがコツです。面接や見学で話すときにも、そのまま自己紹介として使えます。
情報収集は早めに始める
職場の情報は、求人サイトだけでなく、同業の知人や専門の相談窓口からも集められます。退職を決める前から情報を集めておくと、納得のいく選択がしやすくなります。
転職先の候補は、ヘルスキーパーへの転職の記事も参考にしてください。勤め先ではなく自分で始める道を考えている場合は、出張施術の届出についても調べておきましょう。
よくある質問(FAQ)
あん摩マッサージ指圧師の将来性はないのでしょうか?
将来性がないとは言えません。マッサージ単独の施術所は減っていますが、資格を持って働く人は2024年末に119,703人と増えています。訪問や介護など、国家資格が必要な職場で需要が続いています。
マッサージ院が減っているのに、資格を取る意味はありますか?
あります。訪問マッサージや機能訓練指導員など、無資格のリラクゼーション店では担えない仕事は国家資格があって初めてできます。働く場所の選択肢を広げられる点が、資格の大きな強みです。
勤めているマッサージ院が閉院しそうです。何から準備すればいいですか?
まず給与明細や雇用契約書を手元に保管し、未払いの給料がないか確認しましょう。そのうえで、訪問や併設院など次の職場の情報を早めに集めておくと、閉院が決まっても慌てずに動けます。
あん摩マッサージ指圧師がはり師・きゅう師の資格も取ると有利ですか?
はり・きゅうも行う施術所は増えているため、働ける場所が広がる点では有利です。ただし養成校に通う時間と費用がかかるため、目指す働き方に本当に必要かを考えてから決めましょう。
リラクゼーション店で働くのはもったいないですか?
一概にもったいないとは言えませんが、国家資格の強みは活かしにくくなります。資格を活かしたい場合は、訪問マッサージや併設院など、有資格者が必要とされる職場も比べてみましょう。
まとめ|施術所の減少は働き方を広げるきっかけに
厚生労働省の統計では、あん摩・マッサージ・指圧だけを行う施術所は2024年末に17,531か所と、2年で2.7%減りました。一方、あん摩マッサージ指圧師の数は119,703人と増えています。
- マッサージ単独の施術所は減り、鍼灸との併設などに形が変わっている
- 訪問・介護・ヘルスキーパーなど、資格が必要な職場がある
- 職場は需要の続きやすさと給与の仕組みで比べる
- 自分の強みを整理し、情報収集を早めに始める
数字の変化を知ることは、不安をあおるためではなく、次の一歩を選ぶための材料です。
業界の変化に不安を感じたときこそ、資格を活かせる職場を一緒に考えてみませんか。
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