「院長に給料を下げると言われた」「辞めたいと伝えたら、辞めさせてもらえない」。整骨院で働く中で、こうしたトラブルにぶつかっても、どこに相談すればいいかわからない柔道整復師は少なくありません。
そんなときに、最初の相談先として使いやすいのが、国が設けている「総合労働相談コーナー」です。相談は無料で、予約もいりません。この記事では、総合労働相談コーナーでできること、助言・指導やあっせんの仕組み、相談の前に準備したいことを解説します。
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総合労働相談コーナーは無料・予約不要の労働相談窓口
総合労働相談コーナーは、解雇、給料の引き下げ、パワハラ、退職のトラブルなど、職場のあらゆる労働問題を無料で相談できる国の窓口です。都道府県労働局や労働基準監督署などに設けられていて、予約なしで利用できます。
総合労働相談コーナーとは、厚生労働省の都道府県労働局が運営する、労働問題の相談をワンストップで受け付ける窓口のことです。厚生労働省の資料では、全国379か所に設置されているとされています。電話での相談もでき、匿名でも受け付けている労働局もあります。
相談件数は年間120万件を超える
厚生労働省が2025年6月に公表した「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、2024年度の総合労働相談の件数は120万1,881件で、5年連続で120万件を超えました。民事上の労働トラブルの相談では、「いじめ・嫌がらせ」が54,987件で13年連続の最多となっています。
多くの人が利用している窓口なので、「こんなことで相談していいのかな」と遠慮する必要はありません。
たとえば、入職3年目の柔道整復師が、院長から「来月から基本給を2万円下げる」と一方的に告げられたとします。納得できないけれど、院長に直接言い返すのは難しい。そんなとき、まず総合労働相談コーナーに電話をして、「給料を一方的に下げられるのか」を聞いてみるだけでも、次の行動が見えてきます。
整骨院で相談が多そうなテーマ
- 残業代や給料の未払い、一方的な給料の引き下げ
- 「辞めさせない」「後任が見つかるまで残れ」と言われる
- 院長や先輩からのパワハラ、いじめ
- 突然の解雇や雇い止め
- 有給休暇を取らせてもらえない
総合労働相談コーナーでできる3つのこと
総合労働相談コーナーでは、相談に乗ってもらうだけでなく、労働局長による「助言・指導」や、専門家が間に入る「あっせん」の申し込みもできます。いずれも無料です。
| 手続き | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 相談・情報提供 | 法律や制度、ほかの相談先について説明を受けられる | まず状況を整理したいときに |
| 助言・指導 | 労働局長が、院に問題点を示して解決の方向を助言する | 院に強制する力はないが、話し合いのきっかけになる |
| あっせん | 弁護士などの専門家が間に入り、話し合いで解決をめざす | 院に参加の義務はない。合意すれば和解の契約になる |
厚生労働省の同じ資料では、2024年度の助言・指導の申し出で最も多かったのは「労働条件の引下げ」の1,103件、あっせんの申請で最も多かったのは「解雇」の792件でした。
あっせんの流れ
- 総合労働相談コーナーで、あっせんを申請する
- 労働局から院に、あっせんの開始が通知される
- 院が参加する場合、あっせんの期日が開かれる
- あっせん委員が双方の話を聞き、解決案を示す
- 双方が合意すれば、合意した内容で解決する
あっせんは原則として1回の期日で行われ、手続きは非公開です。院と顔を合わせずに済むよう配慮されることもあります。
労働基準監督署との違い
残業代の未払いや、休憩を与えないといった労働基準法違反がはっきりしている場合は、労働基準監督署が院を調査し、是正するよう指導することがあります。一方、パワハラや退職の引き止めなど、法律違反かどうかの判断が分かれるトラブルは、総合労働相談コーナーでの相談やあっせんが向いています。どちらに相談すべきか迷ったら、まず総合労働相談コーナーで聞いてみましょう。
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相談の前に準備したいこと
総合労働相談コーナーでの相談をスムーズに進めるには、トラブルの経緯と、それを示す資料をまとめておくことが大切です。
資料がそろっていなくても相談はできます。まずは話を聞いてもらい、必要なものを教えてもらうのも一つの方法です。
準備しておきたいもの
- いつ、誰に、何を言われたか(されたか)を時系列でまとめたメモ
- 雇用契約書や労働条件通知書
- 給与明細、タイムカードやシフト表の写真
- 院長とのLINEやメールのやり取り
- 相談で解決したいこと(未払い分を払ってほしい、辞めたい、など)
「どうなりたいか」をはっきりさせておくと、相談員も適切な制度や相談先を案内しやすくなります。
電話で相談するときのコツ
電話で相談する場合は、手元にメモを用意して、「いつから」「何が起きているか」「どうしたいか」を順番に伝えましょう。相談員から聞かれたことや、教えてもらった制度の名前もメモしておくと、後で見返すときに役立ちます。
労働基準法違反がある場合、働く人はそのことを労働基準監督署に申告できます。申告したことを理由に、院が解雇などの不利益な扱いをすることは、労働基準法104条で禁止されています。
パワハラの相談は担当が分かれることもある
2022年4月からは、中小企業も含めてパワハラ防止の措置が事業主の義務になりました。パワハラについては、労働局の雇用環境・均等部(室)が、助言・指導や調停の手続きを担当します。総合労働相談コーナーで相談すれば、担当の窓口につないでもらえます。整骨院のパワハラの相談先は、整骨院のパワハラの相談先の記事でも詳しく紹介しています。
相談の窓口が開いているのは、原則として平日の日中です。整骨院の診療時間と重なりやすいため、休診日や昼休みの時間を使って電話するなど、無理のない方法を選びましょう。最寄りの窓口の場所や受付時間は、各都道府県労働局のホームページで確認できます。
相談した後の進め方
相談の結果、助言・指導やあっせんを申し込むか、ほかの相談先に移るかを決めます。話し合いで解決できない場合は、裁判所の労働審判などを検討することになります。
助言・指導やあっせんを申し込んだことを理由に、院が解雇などの不利益な扱いをすることは、個別労働関係紛争解決促進法で禁止されています。安心して手続きを利用しましょう。
相談したからといって、必ず院と争わなければならないわけではありません。「自分のケースが法律上どうなのかを知りたいだけ」という使い方でも大丈夫です。
給料が払われないときの対処は整骨院の給料未払いの記事で、突然の解雇への対応は整骨院で突然解雇されたときの記事でまとめています。
よくある質問(FAQ)
総合労働相談コーナーは、本当に無料で使えますか?
無料です。予約も不要で、電話での相談もできます。労働局によっては、名前を言わずに相談することもできます。
整骨院の院長にバレずに相談できますか?
相談しただけで院に連絡がいくことはありません。助言・指導やあっせんを申し込んだ場合は院に連絡がいきますが、申し込んだことを理由に不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。
あっせんを申し込んだら、院は必ず話し合いに参加しますか?
あっせんへの参加は任意のため、院が参加しないこともあります。その場合は、労働審判などほかの手続きを検討します。
パワハラの相談も、総合労働相談コーナーでできますか?
できます。パワハラについては、労働局の雇用環境・均等部(室)が助言・指導や調停を担当するため、総合労働相談コーナーから担当の窓口につないでもらえます。
相談に行く前に、何を準備すればいいですか?
トラブルの経緯を時系列でまとめたメモ、雇用契約書、給与明細、院長とのやり取りの記録などです。解決したいことをはっきりさせておくと、相談がスムーズに進みます。
まとめ|困ったら、まずは総合労働相談コーナーへ
総合労働相談コーナーは、整骨院で起きた労働トラブルを、無料・予約不要で相談できる国の窓口です。
- 全国の労働局や労働基準監督署などに設置。電話相談もできる
- 2024年度の相談件数は120万件を超え、多くの人が利用している
- 相談のほか、助言・指導やあっせんも無料で利用できる
- 経緯のメモや給与明細などをそろえてから相談するとスムーズ
一人で抱え込まず、使える窓口を知っておくことが、自分の働き方を守る第一歩です。
職場のトラブルをきっかけに、次の職場を考えたい方もお気軽にご相談ください。
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