「整骨院だけでは将来が不安。鍼灸の資格も取ったほうがいいのだろうか」「求人で『鍼灸師資格があれば優遇』とよく見かける」。キャリアの幅を広げたいと考え、W資格を検討する柔道整復師は少なくありません。
結論から言うと、鍼灸の資格は働く場所や施術の幅を広げる強みになりますが、3年以上の学業と大きな費用がかかるため、目指す働き方がはっきりしている人ほど取る価値があります。この記事では、W資格のメリットと負担、データから見た判断基準を解説します。
「W資格を取るべきか、今の資格で職場を変えるべきか迷う」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で話を聞くこともできます。
W資格は働く場所と施術の幅を広げる
柔道整復師が、はり師・きゅう師の資格も持つと、保険施術中心の整骨院に加えて、鍼灸院や自費メニュー中心の治療院など、働ける場所と提供できる施術が広がります。開業するときにも、施術メニューの選択肢が増えます。
W資格とは、柔道整復師と、はり師・きゅう師のように、複数の国家資格を持つことです。整骨院と鍼灸院を併設する院も多く、両方の資格を持つ人は採用の場面で評価されやすい傾向があります。
慢性的な肩こりの患者さんに、手技だけでは限界を感じる。「ここに鍼が打てたら」と思った経験から、鍼灸に興味を持つ柔道整復師もいるでしょう。
施術所の数の推移
| 施術所の種類 | 2024年末 | 2022年末からの増減 |
|---|---|---|
| 柔道整復の施術所 | 50,924か所 | 8か所増(0.0%) |
| はり及びきゅうを行う施術所 | 35,494か所 | 1,604か所増(4.7%) |
| あん摩、マッサージ及び指圧、はり並びにきゅうを行う施術所 | 38,595か所 | 221か所増(0.6%) |
数字は厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によるものです。柔道整復の施術所がほぼ横ばいなのに対し、はり・きゅうの施術所は増えています。
施術所で働く人の数も、はり師は2024年末に136,736人と2年前より4.0%増えた一方、柔道整復師は78,666人で1.3%の増加でした。鍼灸の分野は、働く人も施術所も伸びている分野だと言えます。
W資格が活きやすい場面
- 整骨院と鍼灸院を併設している院で、両方の施術を担当する
- スポーツ現場で、けがの対応と鍼のケアを組み合わせる
- 自費メニューに鍼灸を取り入れ、施術の単価を上げる
- 開業時に、保険施術と鍼灸の両方を提供する
W資格を取るための負担を知っておく
はり師・きゅう師の資格を取るには、国が認めた養成校で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。柔道整復師の資格を持っていても、学ぶ年数が短くなるわけではありません。
働きながら夜間部に通う人も多いですが、3年間、仕事と勉強を両立するのは簡単ではありません。学費に加えて、勤務時間を減らすことによる収入の減少も考えておく必要があります。
国家試験の合格率
厚生労働省の発表によると、2026年2月に行われた第34回国家試験の合格率は、はり師が67.2%(受験者3,920人中2,634人合格)、きゅう師が70.5%(受験者3,858人中2,720人合格)でした。
およそ3人に1人は不合格になる計算で、しっかり準備すれば合格を目指せる一方、油断はできない水準です。柔道整復師の国家試験で学んだ解剖学や生理学の知識は、鍼灸の勉強でも土台として活かせます。
費用の負担を軽くする方法
鍼灸の養成課程の中には、国の教育訓練給付制度で「専門実践教育訓練」に指定されている講座があります。雇用保険の加入期間などの条件を満たせば、学費の50%、条件によっては最大80%が支給されます(2026年時点)。
学校を選ぶ前に、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで、その課程が対象かどうかを確認しておきましょう。
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W資格を取るべきかの判断基準
W資格を取るべきかは、「将来どんな働き方をしたいか」がはっきりしているかどうかで判断するのがおすすめです。鍼灸を使って実現したいことが明確なら、時間と費用をかける価値は大きくなります。
反対に、「なんとなく不安だから」という理由だけで始めると、3年間のモチベーションを保つのが難しくなります。今の資格で職場を変えるだけで、悩みが解決することもあります。
判断のためのチェックポイント
- 鍼灸を使って、どんな患者さんにどんな施術をしたいかを書き出す
- 3年間、学業と仕事を両立できる勤務先かを確認する
- 学費と生活費の見通しを立て、給付金が使えるか調べる
- 鍼灸師として働く人の話を聞き、仕事のイメージを確かめる
- 今の資格のまま職場を変えた場合と比べてみる
実際に鍼灸師として働く人の話を聞くと、学校のパンフレットだけではわからない現場の様子が見えてきます。勉強会や同業の知人を通じて、W資格を持つ先輩に話を聞いてみるのもおすすめです。
今の資格で広げられる道もある
柔道整復師の資格だけでも、整形外科クリニック、スポーツ現場、介護施設の機能訓練指導員など、働ける場所は多くあります。W資格を考える前に、今の資格の活かし方を見直すのも一つの方法です。
スポーツ分野の働き方はスポーツトレーナーへのキャリアの記事で紹介しています。鍼灸師が整骨院で働く場合の実態は、鍼灸師が整骨院で働く記事も参考になります。
W資格を目指すときの職場選び
働きながら鍼灸の学校に通うなら、学業に理解があり、シフトの融通がきく職場を選ぶことが何より大切です。夜間の授業に間に合う勤務時間かどうかは、事前に必ず確認しましょう。
整骨院によっては、鍼灸の資格取得を応援し、学費の一部を補助する院もあります。ただし、補助と引き換えに一定期間の勤務を求める契約には注意が必要です。
職場選びで確認したいこと
- 夜間部の授業に間に合う時間に退勤できるか
- 試験前に休みを取りやすいか
- 学費補助がある場合、返還の条件はどうなっているか
- 資格取得後に、鍼灸の施術を任せてもらえるか
学費補助を受ける場合は、「資格取得後〇年以内に辞めたら返還」といった条件がないかを、契約前に必ず書面で確認しましょう。条件が厳しすぎると、職場を変えたくなったときに身動きが取れなくなります。
開業を見据える場合
将来の開業を見据えてW資格を目指す場合は、経営の知識も同時に学んでおくと安心です。保険施術と自費施術のバランスや、広告のルールなど、知っておくべきことは多くあります。
独立支援をうたう求人の注意点は、独立支援の求人の記事にまとめています。
よくある質問(FAQ)
柔道整復師がはり師・きゅう師の資格を取るには何年かかりますか?
国が認めた養成校で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。柔道整復師の資格を持っていても、学ぶ年数は短くなりません。働きながら夜間部に通う人も多くいます。
はり師・きゅう師の国家試験の合格率はどのくらいですか?
2026年2月の第34回国家試験では、はり師が67.2%、きゅう師が70.5%でした。前回より少し下がっています。働きながら学ぶ場合も、計画的に準備すれば十分に合格を目指せます。
鍼灸の学校の学費を抑える方法はありますか?
養成課程の中には、教育訓練給付制度の専門実践教育訓練に指定されている講座があります。条件を満たせば学費の50%、最大80%が支給されます。学校を選ぶ前に対象かどうかを確認しましょう。
W資格を持つと給料は上がりますか?
併設院で両方の施術を担当したり、自費メニューを任されたりすると、給料に反映されることがあります。ただし院によって評価は違うため、資格手当や歩合の仕組みを転職時に確認することが大切です。
W資格を取らないと、柔道整復師は将来不安ですか?
必ずしもそうではありません。整形外科やスポーツ、介護など、柔道整復師の資格だけで働ける場所は多くあります。W資格は目的がはっきりしているときに取ると、時間と費用に見合う価値が出やすくなります。
まとめ|W資格は目的があるほど価値が高まる
柔道整復師がはり師・きゅう師の資格も持つと、働く場所と施術の幅が広がります。はり・きゅうの施術所は2024年末に35,494か所と増えており、W資格が活きる場面は増えています。
- 資格取得には養成校で3年以上の学業が必要
- 第34回国家試験の合格率は、はり師67.2%、きゅう師70.5%
- 教育訓練給付金で学費の負担を軽くできる場合がある
- 目指す働き方を明確にしてから決める
資格を増やすことも、今の資格の活かし方を見直すことも、どちらも大切なキャリアの選択です。
W資格を取るか、職場を変えるか。迷ったときは、これからの働き方を一緒に整理してみませんか。
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