鍼灸師の開業は何から始める?準備の手順と失敗しない判断基準

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「いつかは自分の鍼灸院を持ちたい」「でも、何から始めればいいのか分からない」。鍼灸師として働きながら、開業を夢見ている方は多いのではないでしょうか。

開業には、物件探しや手続き、集客など、勤務しているだけでは経験しにくい準備がたくさんあります。勢いだけで始めてしまい、資金が尽きて閉院するケースも珍しくありません。

この記事では、鍼灸師の開業について、開業スタイルの比べ方、保健所への届出などの手続き、費用の目安、勤務中に準備しておくことと開業時期の判断基準を、公的な情報をもとに解説します。

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目次

鍼灸師の開業スタイルは主に3つ

鍼灸師の開業は、「店舗を構える鍼灸院」「訪問・出張専門」「店舗と訪問の組み合わせ」の主に3つのスタイルに分けられます。初期費用と集客の方法が大きく違うため、自分の資金と得意分野に合わせて選ぶことが大切です。

鍼灸師の開業とは、はり師・きゅう師の国家資格を持つ人が、自分で施術所を開設したり、出張専門で施術を行ったりして、事業として鍼灸を提供することです。

数字で見る鍼灸の施術所の現状

厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例」によると、2024年末時点の「はり及びきゅうを行う施術所」は35,494か所で、前回の2022年より4.7%増えています。同じ調査で、就業しているはり師は136,736人です。

施術所が増えているということは、開業する人が多い一方で、地域によっては競合も増えているということです。開業前に、出店したい地域にどのくらい鍼灸院があるかを調べておく必要があります。

開業スタイルごとの違い

開業スタイルによって、必要な資金や働き方が変わります。治療院の開業事例をまとめた資料で紹介されている目安をもとに、主な違いを表にまとめました。

開業スタイル 初期費用の目安 特徴
店舗型の鍼灸院 200万〜500万円程度 物件・内装・備品が必要。地域での認知が集客の鍵
訪問・出張専門 30万〜50万円程度 店舗が不要で費用を抑えやすい。移動時間がかかる
店舗+訪問 店舗型と同程度 収入源を分けられるが、運営の手間が増える

費用は物件の場所や広さ、設備によって大きく変わります。表の金額はあくまで目安として、実際に見積もりを取って確認してください。訪問専門の働き方については、訪問鍼灸の仕事内容と向き不向きも参考になります。

鍼灸院の開業に必要な手続きと届出

鍼灸院を開業するときは、施術所を開設してから10日以内に保健所などへ届け出ることが法律で定められています。保険を扱う場合は、別に地方厚生局への申出も必要です。

手続きの窓口は自治体によって違います。開業する地域の保健所に、物件を決める前の段階で相談しておくと安心です。

施術所開設届は開設後10日以内

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律の第9条の2では、施術所を開設した人は、開設後10日以内に届け出なければならないとされています。福岡市の案内でも、施術所の所在地を担当する窓口へ、開設後10日以内に届け出るよう案内されています。

施術所には、施術室の広さや換気、消毒の設備などの基準があります。基準を満たさない物件を契約してしまうと、改装に余計な費用がかかることがあるため、物件の契約前に基準を確認しておきましょう。

保険を扱うなら受領委任の申出も

はり・きゅうの施術を健康保険で扱い、患者さんに代わって療養費を請求する場合は、地方厚生局への受領委任の申出が必要です。東北厚生局の案内によると、2021年1月1日から、施術管理者になるには実務経験と研修の受講が要件になっています。

保険の施術を中心にするか、自費中心にするかで、開業前に必要な経験や準備が変わります。勤務している間に、どちらの経営が自分に合うかを考えておきましょう。

そのほかの主な手続き

  • 税務署への開業届の提出
  • 青色申告の申請(節税を考える場合)
  • スタッフを雇う場合の労働保険・社会保険の手続き
  • 施術中の事故に備えた賠償責任保険への加入

手続きのなかでも、施術所開設届と税務署への開業届は、開業してすぐに必要になります。開業日が決まったら、提出する書類と期限を一覧にして、漏れがないよう準備しておきましょう。

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勤務中に準備しておくことと開業時期の判断基準

開業で失敗しないためには、勤務している間に「施術以外の経営の力」と「開業後の生活を支える資金」を準備しておくことが大切です。技術だけでなく、集客と数字の管理ができるかが開業後を左右します。

開業して最初の数か月は、患者さんがなかなか増えないのが普通です。収益が安定するまでの期間を乗り切れるかどうかを、具体的に計算しておきましょう。

開業までの準備の手順

開業を考え始めたら、次の順番で準備を進めると、抜けや漏れを防ぎやすくなります。

  1. どんな患者さんに、どんな施術を届けたいかを決める
  2. 開業する地域の競合や人口を調べる
  3. 初期費用と、開業後半年分の生活費・運転資金を計算する
  4. 物件を探し、保健所に施術所の基準を確認する
  5. 集客の準備(ホームページ、地図サービスへの登録など)を始める
  6. 開設後10日以内に施術所開設届を提出する

勤務中に身につけておきたい力

鍼灸院の経営では、施術の腕に加えて、患者さんに通い続けてもらう力と、お金の流れを管理する力が必要です。勤務先で次のような経験を積んでおくと、開業後に役立ちます。

  • 問診やカウンセリングで、患者さんの悩みを聞き出す力
  • 予約管理やリピートの仕組みづくり
  • SNSや地図サービスを使った集客
  • 売上や経費の数字を読む力

閉院後、院長が一人で売上表を見ながら翌月の予約数を数えている。その姿を「経営の勉強」として見せてもらえる職場は、開業を目指す鍼灸師にとって貴重です。

開業してもよいタイミングの判断基準

開業の時期に決まりはありませんが、次の条件がそろっているかを一つの目安にしてください。

  • 自分を指名してくれる患者さんがいる
  • 開業後半年は収入が少なくても生活できる資金がある
  • 集客や会計について、ある程度の知識がある
  • 家族の理解が得られている

条件がそろっていないうちは、開業に役立つ経験を積める職場へ移るのも一つの方法です。業務委託で経験を積む選択肢については、鍼灸師の業務委託で契約前に確認したいことを、柔道整復師の視点での比較は柔道整復師の独立か転職かの考え方も参考にしてください。

よくある質問

鍼灸院の開業資金はいくらくらい必要ですか?

店舗型なら200万〜500万円程度、訪問専門なら30万〜50万円程度が目安とされています。ただし物件の場所や設備で大きく変わります。開業費用に加えて、収益が安定するまでの半年分ほどの生活費と運転資金も用意しておくと安心です。

鍼灸師は何年くらい勤務してから開業するのがいいですか?

決まった年数はありませんが、指名してくれる患者さんがいて、集客や会計の知識がある状態が一つの目安です。保険を扱う場合は、施術管理者になるための実務経験と研修受講も必要です。年数より、開業に必要な経験がそろっているかで判断しましょう。

鍼灸院の開設届はいつまでに出せばいいですか?

施術所を開設してから10日以内に届け出ることが法律で定められています。届出先は施術所の所在地を担当する保健所などです。施術所には広さや設備の基準があるため、物件を契約する前に窓口へ相談しておくと安心です。

自宅の一室で鍼灸院を開業することはできますか?

施術所の基準を満たしていれば、自宅の一室で開業することもできます。ただし、施術室の広さや待合室、換気や消毒の設備などの基準があり、生活スペースと分ける必要があります。開業前に保健所へ相談して、条件を確認しておきましょう。

鍼灸院を開業しても患者さんが来なかったらどうすればいいですか?

開業直後に患者さんが少ないのはよくあることなので、まずは地図サービスへの登録やホームページ、紹介の仕組みなど集客の手段を見直しましょう。あらかじめ半年分ほどの運転資金を用意しておくと、焦らずに改善を続けられます。訪問の施術を組み合わせて収入源を増やす方法もあります。

まとめ

鍼灸師の開業は、スタイルの選び方、手続き、資金、集客の準備をそろえて進めることが大切です。特に、開業後しばらくは収入が安定しないことを前提に計画を立てましょう。

  • 開業スタイルは店舗型・訪問専門・組み合わせの3つが主流
  • 施術所開設届は開設後10日以内に提出する
  • 保険を扱うなら受領委任の申出と施術管理者の要件を確認する
  • 勤務中に集客と経営の力、開業後半年分の資金を準備する

開業はゴールではなくスタートです。焦らずに準備を重ねて、長く続けられる鍼灸院を目指してください。

治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。開業に向けて経験を積める職場を探したい方、開業と転職のどちらが合っているか迷っている方も、お気軽にご連絡ください。まずは相談だけでも大丈夫です。

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