「受付締め後の片付けや練習で、毎日1時間は残っているのに残業代が出ない」「辞める前に、払われていない分を請求したい」。そう考えても、何を証拠にすればいいかわからず止まってしまう柔道整復師は多いものです。
結論から言うと、残業代の請求で大切なのは、実際に働いた時間を示す記録を、毎日コツコツ残しておくことです。この記事では、整骨院の残業代請求で役立つ証拠の種類と、今日からできる記録の残し方、請求の流れを、厚生労働省の資料をもとに解説します。
「残業代のことも含めて、今の院を続けるか迷っている」という方は、治療家コネクトのLINE無料相談で話を聞くこともできます。
整骨院の残業代請求は証拠の有無で決まる
整骨院に残業代を請求するときは、「何時から何時まで働いたか」を示す証拠があるかどうかが結果を大きく左右します。記憶だけの主張では、院に「そんなに残っていない」と言われたときに反論しにくいからです。
残業代とは、法律で決められた労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた分に支払われる賃金のことです。法定時間を超えた分は、通常の賃金の25%以上を上乗せして払う必要があります。
最終受付を終え、カルテを書き、ベッドを拭いて、院長の「ちょっと練習していこうか」に付き合う。気づけば21時半という日が続いている人は、まず自分の働いた時間を正確に把握するところから始めましょう。
賃金不払いは珍しい話ではない
厚生労働省の発表によると、2024年に全国の労働基準監督署が扱った賃金不払事案は22,354件、対象労働者は185,197人、金額は172億1,113万円でした。
このうち96.2%にあたる21,495件は、監督署の指導によって使用者が支払い、解決しています。証拠をそろえて相談すれば、動いてもらえる可能性は十分にあります。
院には労働時間を把握する義務がある
厚生労働省のガイドライン(2017年)では、使用者が労働者の始業・終業時刻を確認し、記録することが求められています。原則はタイムカードやパソコンの記録など、客観的な方法で把握することです。
また、労働基準法では、出勤簿などの労働時間の記録を院が保存することも定められています。院にタイムカードがある場合は、それ自体が大事な証拠になります。
残業代請求で役立つ証拠の種類
残業代請求で役立つのは、タイムカードのような客観的な記録と、自分で毎日つけるメモの両方です。院の記録が実態と違う場合も、自分の記録があれば実際の労働時間を示す手がかりになります。
「タイムカードは定時に押すように言われている」という整骨院もあります。その場合こそ、院とは別に自分の記録を残しておくことが大切です。
集めておきたい証拠の一覧
| 証拠 | わかること | 残し方のコツ |
|---|---|---|
| タイムカード・勤怠アプリ | 出勤・退勤時刻 | スマホで定期的に撮影する |
| 予約表・受付記録 | 最終受付や施術の終了時刻 | 自分の担当分を撮影・メモする |
| 院長や同僚とのLINE・メール | 残業や練習の指示 | スクリーンショットで保存する |
| パソコンのログ・レセコン | 作業の開始・終了時刻 | 操作した時刻をメモする |
| 自分の業務日誌 | 日々の始業・終業と作業内容 | その日のうちに書く |
「練習」や「片付け」も労働時間になり得る
院長の指示で残る練習や、閉院後の片付け・掃除は、労働時間にあたる可能性があります。指示されたことがわかるLINEや、参加が事実上強制だった事情を記録しておきましょう。
営業後の練習が労働時間になるかどうかは、整骨院の居残り練習の記事でくわしく解説しています。
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毎日の記録を残す具体的な方法
自分で残す記録は、毎日、その日のうちに、同じ形式でつけることが信用度を高めるポイントです。後からまとめて書いた記録は、正確さを疑われやすくなります。
難しく考える必要はありません。帰りの電車でスマホのメモに1行書く。それを毎日続けるだけで、半年後には立派な記録になります。
記録を続ける手順
- 出勤したら、白衣に着替える前の時刻をメモする
- 休憩を取れた時間と、取れなかった時間を書いておく
- 最終受付後の作業内容(カルテ・片付け・練習)を書く
- 院を出た時刻を記録し、可能なら退勤時に撮った写真も残す
- 週に1回、メモを自分のメールやクラウドに送って保存する
院のパソコンや院のアカウントだけに記録を残すと、退職後に見られなくなります。必ず自分のスマホや個人のメールに保存しておきましょう。
記録には、その日の出来事も一言添えておくと効果的です。「急患対応で20分延長」「院長の指示でセミナー資料作成」など、残った理由が書かれていれば、後から読み返したときに記憶を補ってくれます。
給与明細と雇用契約書もそろえる
残業代を計算するには、基本給や手当の金額がわかる給与明細と、所定労働時間が書かれた雇用契約書も必要です。毎月の給与明細は捨てずに保管しましょう。
「固定残業代込み」と言われている場合は、何時間分がいくらなのかを確認します。その時間を超えて働いた分は、別に支払われる必要があります。ほかにも、整骨院のサービス残業の記事で確認ポイントをまとめています。
残業代を請求するときの流れと時効
残業代の請求には時効があり、2020年4月以降に支払日が来た賃金は3年で請求できなくなります。辞めてから考えるのではなく、早めに証拠をそろえて動き始めることが大切です。
在職中に請求するのは気まずいと感じる人も多いでしょう。退職後に請求することもできますが、時効は毎月進んでいきます。古い月の分から順に請求できなくなる点に注意が必要です。
請求の一般的な進め方
- 証拠をもとに、未払いの残業時間と金額のおおよそを計算する
- 院に書面(内容証明郵便など)で支払いを求める
- 応じてもらえなければ、労働基準監督署に相談・申告する
- それでも解決しない場合は、弁護士や労働審判などを検討する
どの段階でも、手元の証拠が多いほど話し合いは進めやすくなります。まずは総合労働相談コーナーなどの無料窓口で、進め方を聞いてみるのも一つの方法です。
月60時間を超える時間外労働の割増率は、2023年4月から中小企業でも50%以上になりました。残業が特に多い月がある人は、計算するときにこの点も確認しておきましょう。
退職と同時に進めるときの注意点
退職を決めている場合は、退職日までに院のタイムカードや予約表を撮影しておくことが重要です。辞めた後は、院の記録を見る機会がほとんどなくなるからです。
また、残業代の話を切り出したことを理由に、退職を急かされたり嫌がらせを受けたりする場合もあります。言われたことは日時とともに記録し、一人で抱え込まずに相談しましょう。
よくある質問(FAQ)
タイムカードがない整骨院でも残業代は請求できますか?
請求できます。タイムカードがなくても、自分で毎日つけた業務日誌や、予約表の写真、院長からのLINEなどが労働時間を示す証拠になります。その日のうちに、同じ形式で記録を続けることが大切です。
自分でつけたメモだけでも証拠になりますか?
証拠の一つになります。毎日その日のうちに書いた具体的な記録は、信用されやすくなります。ただしメモだけより、予約表の写真や退勤時の写真など、ほかの記録と組み合わせたほうが説得力が増します。
整骨院を辞めた後でも残業代は請求できますか?
請求できます。2020年4月以降に支払日が来た賃金は、3年以内なら退職後でも請求可能です。ただし時効は月ごとに進むため、辞める前に証拠を集め、退職後はできるだけ早く動きましょう。
閉院後の練習時間も残業代の対象になりますか?
院長の指示で参加する練習や、参加しないと評価が下がるなど事実上強制の練習は、労働時間にあたる可能性があります。指示が分かるLINEやメモを残しておくと、相談するときに役立ちます。
残業代を請求したら、院から嫌がらせを受けないか心配です。
不安な場合は、まず労働基準監督署や総合労働相談コーナーに、名前を伏せた相談から始める方法があります。言われたことやされたことは日時とともに記録し、一人で抱え込まないようにしましょう。
まとめ|残業代請求は今日からの記録が力になる
整骨院の残業代請求では、働いた時間を示す証拠があるかどうかが何より重要です。2024年には全国で22,354件の賃金不払事案があり、その多くが監督署の指導で解決しています。
- タイムカード・予約表・LINEなどの客観的な記録を集める
- 自分の業務日誌を毎日その日のうちにつける
- 給与明細と雇用契約書も保管しておく
- 2020年4月以降の賃金の時効は3年。早めに動く
働いた分がきちんと支払われることは、仕事を続けるうえでの基本です。記録を残すことが、自分の働き方を見直す第一歩になります。
残業代が払われない職場で我慢を続けるより、働いた時間がきちんと評価される整骨院を探すことも一つの選択です。
治療家コネクトでは、退職や転職のご相談を無料で承っています。「まだ辞めるか決めていない」「話を聞いてほしいだけ」という段階でも、まずは相談だけでも大丈夫です。無理に転職をすすめることはありませんので、気軽にLINEからご連絡ください。



